成安造形大学イラストレーション領域

成安造形大学イラストレーション領域 領域紹介

社会の様々な場面で用いられる、現代的な美術表現「イラストレーション」。挿絵からマンガまで、さまざまな技法、メディア展開、応用を探求しています。

成安造形大学では、その前身である旧短期大学時代から、今日的な絵画表現であるイラストレーションに着目し、専攻コースを設置してきました。現在のイラストレーション領域では、イラストレーションを単なる表現ジャンルではなく、マンガやアニメ、立体造形などのコンテンツを網羅する「イラストレーション文化」としてとらえ、多岐にわたる研究と教育を行っています。
ここでご紹介する「イラストレーション12の冒険」は、私たちのイラストレーション文化と教育に対する考え方をまとめたもの(2014年大学案内より/2016年改訂)です。ぜひご一読ください。
なお、大学情報、入学情報については、成安造形大学ウェブサイト、および大学案内資料請求をご利用ください。

  • イラストってなんだろう?
  • イラストレーションを学ぶ1
  • イラストレーションを学ぶ2
  • そして世界へ

イラストって、どんな絵のこと?

イラスト:染谷みのる
イラスト:染谷みのる
イラストレーションクラス(現コース)卒業。赤川次郎、京極夏彦などの書籍カバーやCDなどのイラストレーションを多く手がける。また、雑誌「ハルタ」「まんがタイム」に読み切りマンガを発表。イラスト、マンガの両ジャンルで活躍中。
http://asapi.client.jp/

イラストレーションといわれて、皆さんはどんな絵を思い浮かべますか?かっこいいアニメキャラ?図鑑のリアルな挿絵?どれもたしかに「イラスト」ですが、まったく違うモノのようにも思えますよね。

シンプルな線で描かれた「ゆるキャラ」もあれば、「アートっぽい」と言われるような大胆な表現もあります。

うーん、難しいですよね。はたして、イラストとは何でしょう?芸術や絵画と呼ばれるものとは違うのでしょうか?

説明的で、複製され、娯楽性のある絵

「絵」は文字が登場する、ずっと以前から「何かを説明する」ために描かれてきました。洞窟に描かれた動物の様子、教会の天井に描かれた想像上の神話の世界。「情報を伝えられる」という絵の機能は、現在でもイラストレーションの最も大きな特徴です。物語の挿絵、商品のパッケージ、説明書に添えられるカット。表現を追求する美術的な絵画「ファインアート」とは異なり、情報を伝えるため、なにかを説明するために描かれる絵が「イラストレーション」です。

美術的な「絵画」と「イラストレーション」がはっきりと区別されるようになったのは、18世紀に印刷技術が発達してからでしょう。原画を鑑賞するのではなく、印刷によって複製され、大量に配布される。その目的のために、印刷技術に最適化された絵が「イラストレーション」として区別されるようになりました。現在の雑誌、広告、ネットなど、メディアのために描かれる絵は、すべてイラストレーションです。

そして、三つ目の要素は「装飾・娯楽性」です。カフェの壁に描かれたイラスト、パッケージに描かれたキャラクター。身近で日常的な空間にあるこれらの絵画は、その空間やモノを飾ることで、見る者を楽しませ、豊かな気持ちにさせてくれます。

日常生活の中にある美術

この三つの要素がイラストの本質です。イラストレーションは日常の生活の中に溶け込み、伝える役割を担い、生活を彩り、人々を楽しませ、社会を豊かにする「もっとも身近な美術」なのです。

マンガや絵本もイラストなの?

イラスト:高畠エナガ
イラスト:高畠エナガ マンガ家
成安造形大学グラフィックデザインクラス(現コース)を経て、イラストレーションクラス(現コース)卒業。同人誌即売会「COMITIA」での卒業制作作品の発表をきっかけに、集英社「ジャンプSQ」にてマンガ家としてデビュー。初の単行本「ラテン」は、宝島社発行の「このマンガがすごい!」に選出された。その他の作品として「GODSPEED」「100-HANDRED-」がある。

もうひとつ、イラストの大きな役割は、物語を語ることでしょう。

ドキドキする出会い、ワクワクする冒険。日常から異世界まで、さまざまな世界に私たちを連れていってくれる絵本やマンガ、アニメーションもまた、イラストレーションだからできる物語表現です。

絵物語の文化

日本では古くから、連続した絵で物語を語る文化が愛されてきました。その起源は平安〜鎌倉時代の絵巻物にまで遡ることができます。この絵物語文化は、大量印刷技術が普及する20世紀に大きく花開きました。

ひとつは大人の娯楽としての「風刺画」という文化です。もともとは、現実のできごとを伝えるための絵だったものが、誇張や想像を取り入れることで、物語性を帯びていきました。1930〜50年代には、絵が主役である「絵物語」が多く登場し、紙芝居や雑誌連載によって子どもたちに親しまれました。そして子どものための書籍であった、マンガと絵本。最初は単純な「おはなし」や「教訓」目的であったこれらもまた、戦後すぐれた作家たちの登場で、徐々に独自の表現を高めていきます。

これらは皆、画家が物語を語る文化として相互に影響しあい、今日のストーリーマンガやアニメーションへと進化してきました。今や、物語と絵は不可分と言ってもいいでしょう。物語を語るために、絵を描くこと。それはイラストレーションの一つの目的なのです。

マンガも絵本もアニメーションも

マンガも絵本もたくさんの絵で構成されています。魅力的な人物、どこまでも続いている世界、ドキドキする状況。イラストで描かれたたくさんの場面が連なることで、あなたの思い描いている物語を、形にしていくことができます。

また、映像という技術を使って、イラストを動かすのがアニメーションです。このジャンルでは手描きの絵以外に、3DCGを使った表現がどんどん増えていますが、その表現もまた、イラストの延長上にあるものです。

マンガ家、絵本作家、アニメーターと、イラストレーターは別の職業と思っている人もいるかもしれません。イラストレーターがマンガを描くことも、アニメーターがイラストを描くこともありますよね。もともと、絵には物語を語る機能があるのですから、どちらと決めてしまうのはもったいない。どちらもできるようになれるのです。

イラストって何の役にたつの?

イラスト:森野きこり
イラスト:森野きこり マンガ家
イラストレーションクラス(現コース)卒業。卒業制作のマンガがコミックブレイド新人賞(マッグガーデン)を受賞。現在「明治瓦斯燈妖夢抄 あかねや八雲あかねや八雲」を連載中。単行本4巻も発売中。

イラストレーションの活躍の場は、広告やマンガなどに限りません。こういった華やかな面に目を奪われがちですが、それ以外の社会のさまざまな場面で、イラストレーションは利用されています。

日常的なツールとして

街に出れば、お店では「ポップ」と呼ばれる、商品説明に添えられた手描きのイラストをよく見かけます。学校では先生が教材にかわいらしい絵を添えてくれます。どれも、絵の専門家ではない人たちがコミュニケーションのために描いたものです。

また、私たちの身の廻りには、さまざまな物があふれています。その半分は、人間が作ったものでしょう。机、椅子、本、ペン、ぬいぐるみ、テレビ、携帯、ビル、自転車………これらの「人が作ったもの」は、実際に作る前にデザイナーがスケッチとして紙に描いていたはず。建築家が建物をデザインするときも、工業デザイナーが商品をデザインするときも、まず行うのは「イラストレーション」を描くことなのです。

考える手段、伝える手段

ここにイラストレーションの大きな役割があります。イラストを描く、ということは、言葉と同等のコミュニケーション技術です。自分の考えを描くことで確認する。描いた考えを他の人に見せることで伝える。気持ちを伝えるために、絵を添える。それはすべて、イラストレーションであり、言葉や記号だけではできない、思考方法、伝達方法なのです。

ですから、イラストレーションを学ぶということは、考える方法、伝える方法をより本格的に学ぶ、ということです。英語を学んだ人が皆、通訳や翻訳家になるのか、といえばそうではないですよね。学んだことは生活や仕事のさまざまな場面で役に立つことでしょう。イラストも同じ。学ぶことで成長し、人生のさまざまな場面で役に立つ力となるのです。

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