成安造形大学イラストレーション領域

成安造形大学イラストレーション領域 領域紹介

社会の様々な場面で用いられる、現代的な美術表現「イラストレーション」。挿絵からマンガまで、さまざまな技法、メディア展開、応用を探求しています。

イラストはどんな画材を使うの?

イラスト:原公香
イラスト:原公香 刺繍作家/イラストレーター
イラストレーションクラス(現コース)卒業。刺繍で描くユニークな作風で、雑誌「イラストレーション」第167回チョイス入選。個展活動や、「デザインアルバム 花言葉シリーズ」(プラザクリエイト発売)のカバーイラストレーションを手がける。

イラストレーションは長い間、印刷技術によって表現が大きく制限されてきました。たとえば日本の浮世絵(世界でも最も古い複製画=イラストレーション文化です)は「木版画」ですから、写真のようなリアルな表現はできません。クッキリとした輪郭線、平面的な着色という表現は、そういう制限の中で生まれたものです。

しかしその、わかりやすく力強い表現は庶民に愛され、現在のマンガ・アニメといった「日本のイラスト画風」にまで受け継がれています。技法というのはそれぞれ制限がありますが、逆にそれが、表現の強みとなるのです。

どんな画材もつかえる

やがて印刷技術が発達すると、イラストレーションは「技法にしばられない」という大きな特徴を手に入れます。展示目的の絵画とちがい、耐久性を考える必要がないからです。だからこそ、画材を純粋に「表現」のために選ぶことができます。

画材にはそれぞれ、特性があります。水で溶けるもの、溶けないもの、透明なもの、不透明なもの、硬いもの、軟らかいもの…同じ線を描くのでも、サインペンと筆ではまったく違う表現になります。時には画材以外のもの、段ボールや立体物なども、イラストレーションの表現として使うことが出来ます。さらにデジタルグラフィックスの発達により、それらの画材を組み合わせたり、さまざまな素材への印刷表現も身近なものとなっています。

新しい表現を生みだそう

大学の実習では、できるだけ多くの画材や技法に触れる機会を用意しています。アクリル絵具(不透明/透明)、乾式画材(色鉛筆/パステル)、ペン&インク、透明水彩技法、Photoshop&CLIP STUDIO PAINTによるデジタルペイントなど、さまざまな技法を体験し、そして表現の追求ができます。また、イラストレーション領域研究室では、画材のサンプルを多数用意し、実際に購入する前に試し描きをすることもできます。

さまざまな画材を使いこなすこと、新しい使い方を編み出すこと、それがイラストレーションの表現なのです。

デザインとイラストの関係って?

イラスト:walnut
イラスト:walnut イラストレーター
成安造形大学洋画クラス(現コース)卒業後、同イラストレーション領域にて研究生として在籍しながら本格的なイラストレーター活動に入る。ファッションブランドや雑誌を舞台に活躍中。ファッションブランド「MARC BY MARC JACOBS」プレビューイベントにイラストが起用される他、玉城ティナとのコラボスタンプ配信、水原希子2014ダイアリーイラストなどを担当。作品集「WALNUT ART BOOK」が双葉社から発売中。

イラストレーションと、一般的な絵画の違いを一言で言えば「メディアのための絵画」であることはすでにお話ししました。

19世紀、写真と印刷技術が普及するにつれ、人々のコミュニケーションは大きく変化します。それまでの、直接その場で見せることが前提だった表現が、メディアにより遠くの人々に届けること、たくさんの人々に同時に届けることが可能になったのです。

それは大きな変革でした。広告、挿絵、パッケージ、雑貨など、現在親しまれているイラストレーションはこの時代に誕生したものです。絵を見る場所は教会や寺院、美術館から、家庭や職場、路上へと変化しました。描かれる内容も、特別な人物や出来事から、身の廻りのこと、個人的なことへと変わっていきます。

グラフィックデザインってなに?

「グラフィックデザイン」という概念もまた、この時期に成立したものです。絵と文字、また写真などを使って、印刷物で情報を伝えること。見る人がどう理解し、どう感じるのかを設計すること。イラストレーションは常に、グラフィックデザインと共に、「伝える技術」「印象づける技術」として進化してきたのです。

そして20世紀末にもうひとつの大きな変革がありました。コンピュータの普及により、印刷物は安価に扱えるものになり、さらにインターネットによりほとんどコストをかけずに、世界中に情報を発信することも可能となりました。

メディアを使いこなそう

メディアの特徴を知ること、グラフィックデザインの考え方を学ぶことは、イラストレーションを学ぶ上で、なくてはならない要素です。授業では、AdobePhotoshop、Illustrator、InDesignといった、DTP印刷技術を中心に、ネットメディア、映像メディアまで知識を深めていきます。研究室では大型プリンタ、冊子印刷用の両面プリンタなど、印刷から製本までをサポート。授業でも、自主制作でも、実際にメディアを使ってみることで、イラストレーションの力を実感していくことが大切です。

伝えるためには、どうしたらいいの?

イラスト:てらいまき
イラスト:てらいまき イラストレーター/マンガ家
イラストレーションクラス(現コース)卒業後、雑誌「PHP」にてイラストレーターデビュー。現在雑誌「月刊Cocohana」(集英社刊)にて、エッセイイラスト「京都 おとめがたり」を連載中。単行本「ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく京都」(KADOKAWA/メディアファクトリー刊)がある。

イラストレーションで重要なことは「伝えること」です。当たり前のことに思えますが、とても難しいことです。

見たものを見たまま伝えるのであれば、わざわざ描かなくても写真やビデオを撮れば済むでしょう。メールですぐに送ることもできます。でも、それではたして、相手に伝えたいことが伝わっているのでしょうか?「伝えたつもり」でも「伝わっていなかった」ということが多くないですか?

伝えるためには技術が必要

伝えるために必要なものは、心を込めることでしょうか?もちろんそれも大切ですが、もっと重要なのは技術です。いくら心を込めても、文法や単語の使い方が間違っていたら、相手は違うように解釈してしまいます。

たとえばイラストマップ。どんなにかわいいイラストでも、道を間違って描いてしまったら、迷子になってしまいます。説明書のイラストが間違っていたら、機械を動かすことはできません。

伝える技術とは、まず人間が視覚からどんな情報を得て、どんな風に解釈するのかを理解すること。そして、人によって解釈の仕方には幅があるということを知ることです。

あらゆる表現を駆使する

イラストの授業では、「何をどう描けば伝わるのか」ということを常に考えます。正しく見える作画方法はもちろん、構図、色、デフォルメ、構成。大切なことが目に留まるのか?伝えたいことを強調するにはどうすればいいのか?が常に問われます。イラストではそのために絵だけでなく、デザイン、言葉、あらゆる表現を駆使することができます。それだけに、学ぶべき事も多いのです。

相手の視点で、構成し、わかりやすく、誤解のない言葉を選び、語ること。描きたいことをちゃんと描くために。伝えたいことをちゃんと伝えるために。すべての学びはそのためにあるのです。

楽しませるって、どういうこと?

イラスト:ひなきみわ
イラスト:ひなきみわ マンガ家
イラストレーションクラス(現コース)卒業。大学4年時に友人と作った同人誌が編集者の目に留まり、講談社発行の雑誌「モーニング」にて、四コマ連載マンガ「miifa」(単行本全四巻が講談社より発売中)でデビュー。現在、集英社「マーガレット」にて、「Piyocolate(ぴよこれいと)」を連載の他、女性誌や書籍のイラストレーションも手がける。

情報は正確に伝えることも大切ですが、タイクツな話はだれも聞いてくれませんよね。難解な用語が並んだ専門書が、一般の人に敬遠されるように、イラストもまた、正しいだけでは成立しません。相手を楽しませる「演出」が必要です。

効果をねらって工夫すること

友だちにプレゼントをあげる時、何をどう渡すのか、悩みますよね?

相手を笑わせたい、驚かせたい、泣かせたい… 効果をねらって、方法を工夫するのが「演出」です。

どんな絵でも、その画面はさまざまな要素で構成されています。人物が着ている服、持っている物、表情、背景に描かれたもの。さらにマンガなどの物語では、複数の「できごと」を、時間の流れの中で組み立てていくことになります。

構図や物語の型を知ることで、ある程度それはできるようになりますが、相手の気持ちを動かすには、すべての要素ひとつひとつの意味を考え、効果的に組み上げていく「演出」が必要となります。

この演出にも型がありますが、それを使いこなすことは実はとても難しい。それは人の「気持ちの仕組み」に関係することだからです。

人の気持ち、自分の気持ち

人はどんな時になにを感じるのか。その理由は何なのか。他人はもちろん、自分の気持ちだって、実はよくわからないものです。そう、イラストでもマンガでも、人を楽しませるには、人の気持ちの仕組みを知ることが必要です。

そのためには何をすればいいのか?たとえば美術論では作品から作者の意図を読み取ることを、心理学では人の気持ちはどう作用するのか、といったことを学ぶことができます。たくさんの課題の制作と発表は、それを自分の作品で実験してみる場です。さらにあなたは、4年間の大学生活のさまざまな場面で、人の気持ちの仕組みを徐々に知っていくことになります。

人の心の仕組みを知ること。とても難しく、時間がかかる勉強ですが、それはイラストレーションを学ぶ上でも、物語を語る上でも、欠かせないことなのです。そして、相手を楽しませる一番の秘訣。それはあなた自身が描くことを楽しむことです。

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