(C)松本結樹/Fellows!(Q)
4年生在学中に雑誌「Fellows!(Q)」(エンターブレイン発行)でデビューした松本結樹さん。成安生には、学食メニューイラストや、大学マップイラストなどでおなじみ。今回の展覧会のメインイメージイラストも担当してくれました。
●大学時代はどんな学生でしたか?
学外の企画展「モササウルス展」や「成安技芸制服再現プロジェクト」、漫画部に空手部、ダンスサークル…とにかく様々なプロジェクトやサークルに首を突っ込んでいました。案の定、首を突っ込みすぎてスケジュールが詰め詰めになり、全く上手く回せず色んな人に怒られたこともありました。(今もですが) しかし、そこで知り合えた人達との関係が今の仕事につながっています。今思えば、しんどいことをやった分だけ返ってきていると思うし、もっともっと色んなことをやっておけば良かった!! と後悔しているくらいです。先生からの受け売りになりますが、「失敗するなら学生のうち」ですよ!
●いつごろからマンガを描こうと思い始めましたか?そのきっかけは?
ずっとイラストばかり描いていたので、漫画にはあまり慣れておらず描くつもりもありませんでした。でも、大学に入ってからはクロッキーができる漫画部に入部し、プロジェクトで漫画を描き、さらに授業でも漫画を描く機会があり、4年次には指導頂きたい先生が漫画のゼミだったのでゼミも漫画にして、何だかんだ言って気付けば漫画ルートに走っていました。不思議なつながりで今の自分がいます。
●デビュー作と掲載誌をお教えください。
2011/11/15 エンターブレイン社 FELLOWS!Q 創刊号掲載の『雷が鳴ると』です。
●マンガ誌デビューのきっかけは?
東京・関西コミティア(創作同人誌即売会)の出張編集部という、持ち込み原稿をその場で見てくれるという有り難いコーナーがあるのですが、デビューはそこでの持ち込みがきっかけです。漫画というよりは、持っていったイラストが評価されました。表紙に描いていたソファーを褒めてもらった記憶があります。商業誌を手がける人達から見た自分の漫画の評価が知りたくて、FELLOWS!編集部で拾ってもらうまでは他に5社ほど持ち込みに行っていました。会社が違えば視点も意見も違い、毎回様々な意見を貰えるのでとても参考になりました。漫画家デビューしたいなら、コミティア出張編集部は本当にオススメです!
●マンガ家になってから、なにか気づいたこと、感じていることはありますか?
今まで漫画を甘く見ていた、ということをひしひしと感じています。1話読み切りを描くだけでもストーリー構成、コマ割り、作画、トーン貼り…何から何まで全部やらなくちゃいけない。まだまだ勉強不足で、思うようにいかないことばかりです。また、普段何気なく漫画を読んでいましたが、実は読みやすいように様々な仕掛けがあることも知りました。例えば、枠線をきれいにひくなど……これだけで読みやすさは断然変わります。読みやすい漫画は、そういう仕掛けを駆使しているんですね。漫画って奥が深い!
●今後の抱負などをお聞かせください。
読者に、なんじゃこりゃ?と思わせるよう な、心に引っ掻き傷を残せるような漫画が描きたいです。映画でいう「ブラックスワン」みたいな。私はすごく小心者なので、漫画の中だけでも破天荒に生きたい、そんな胸中の思いです。
●マンガ家をめざす後輩たちへアドバイスをお願いします。
自分はまだアドバイスを言えるような立場じゃないと思いますが…。ひとつだけ思うのは、漫画は漫画だけじゃできていないということ。実際ヒットしている漫画家さんたちは、経歴を見てみると漫画とは全く関係ない職業についていたりします。それがあったからこそ素晴らしい作品が生まれたのだと私は思っていて、例えば手塚治虫も昔は医学を学び、それがあったからこそブラックジャックが生まれたわけです。だから、学生のうちに色々 なことにチャレンジしたらいかがでしょう。私も作家活動と平行してバイトをしていますが、いつかこのバイトの経験が漫画に活かせるかも…なんてほくそえんでいます。何でも肥やしにしてやります!!
松本結樹・プロフィール
2012年卒業。4年在学時に雑誌「Fellows!(Q) 2011AUTUMN」(エンターブレイン)にて読み切り作品『雷が鳴ると』でデビュー。同誌2012-SPRING号に読み切り作品『雪はそんなにきれいじゃない』掲載。