イラストレーション領域にて、「細密画」の実習を担当するイラストレーター・今森洋輔先生の新しい絵本「水草の森」が出版されました(岩崎書店刊:ISBN-10: 4265043607)。今森先生は琵琶湖の魚など自然の生態を細密描写で知られていますが、今回のモチーフは今まで以上に細密な「プランクトン」! 身近でありながら、まるでSFかファンタジーのような、おどろくべき発見に満ちた世界が今森先生の筆致により克明に描かれています。
今回、今森先生よりメッセージをいただきました。
「フィルムケースの半分くらいに琵琶湖の水をすくって顕微鏡でみたところ、そこには250種類ほどの微生物がおりました。わずかな水の中にあふれる生命体!私は素直に感動し、それが、この本を作ろうとしたそもそものきっかけでもありました。そして、知れば知るほど、私はSFのようなプランクトンの世界の摩訶不思議さに引き込まれてしまいました。
人の髪の毛の太さは約80マイクロメートルだと言われていますが、同等もしくはその数倍ほどの大きさの微生物たちには、ちゃんと心臓や消化器官が備わっており、(それだけでも驚嘆に値するにもかかわらず、)彼らは生存競争をくり返し、生き残るために様々な工夫をしているのです。微生物は、形体がユニークであるがゆえに、キャラクター性にもあふれ、そこで展開される食う食われるの世界は、テレビゲーム化されてもおかしくないくらいに多くのヒントが隠されております。
この本を読んでくれた全国の子供たちが、「僕も顕微鏡でプランクトンを見てみよう。」と感じてくれたのなら、その時はじめて
私は‘この本を作ってよかった’と、思えるのかも知れません。今森洋輔」