2006年11月29日

棚田・里山、湖辺の郷 淡海の夢2006 風景展 @成安造形大学ギャラリー アートサイト

大津西武展につづいて、成安造形大学ギャラリー アートサイトで第2期の展示をしています。

展示作品はほとんど同じですが、絵本「わらの家」の作画:蔭山歩さんの原画の展示をしています。

滋賀県、そして琵琶湖水系の自然の豊かさや歴史を味わっていただきたいです。

淡海の夢2006風景展.jpg

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「アートには日常の中の美を認識させる力があります。描く人と見る人に同じ想い(感動)を響かせます。」
私たちはアートを通して感性を磨くことができます。
棚田が都市部に育った人にも「日本の原風景」や「なつかしさ」を感じさせ、感銘を与えるように、この展覧会を通して、滋賀の自然や町並み、生活の営みのあり方が、美しく、価値あるものだと感じていただければ幸いです。

話はちょっと寄り道をします。********************************

この「なつかしさ」はどこから来るのでしょうか。
先日の大岩先生の講演での「魂がかえりたがっている場所や時間」というお話と、イメージがだぶります。

里山(仰木)では、民家の裏手(バックヤード)に畑があり、竹林があり、その向こうに広い棚田が広がる。つながりはそこで終わらず、その先の森、そして比叡・比良の山並みへ。
里と森の境界の見晴らしのいい日だまりに共同の墓地を設けた。そこは魂の中継点。ターミナル。
森は亡くなった人の還っていく世界。 さらに、山の向こうに、海の向こうに、還っていく。
つながっていく。
琵琶湖の水も同じように循環する、つながりの中で持続可能な環境。
里から森へ。 融合。 共生。
水のまわりにはたくさんの神様。 仰木では水路のことを「いぜ」と呼ぶ。
お地蔵さまには、毎日花が生けられている。 つながりが生きている。
人のつながり=共同体が生きている。
1200年の伝統と文化、生活様式、祭り、棚田・里山の景観を今に伝えている。
棚田の共同作業が、共同体の絆を強く結んでいるのかもしれない。

町中にも里山的な生物多様性が豊かに息づいていた昭和30年代〜40年代。
今も都市部やニュータウンに自然を残している空き地や林は、フェンスで隔てられている。
川や池も同じ。 琵琶湖も同じかもしれない。 湖辺と日常の距離は大きい。
隔てられた途端に心にも壁ができる気がする。
入ってはいけない。禁忌、穢れとしての結界なのか?
植栽・景観・都市公園・・・ 人の美意識の変化でもある。
でも、都会の大自然は「空き地」。ある意味、野生の自然そのもの。
こんなにも近くに生活していながら、隔てられた自然。 どうして?

人が自分の物語をどう生きるか。
未来の設計図を今、残そう。
魂がかえりたがっている場所や時間を見いださなければいけない。
創り出さなければいけない。
隔てられたモノ、なつかしいと感じるモノと、つながり直そう。

「なつかしい」と感じるモノは、「100%過去」ではない。
感傷やノスタルジーだけではない。
「なつかしい未来」というニュアンスが一番ぴったりする、そんな未来とつながっていきましょう。 いや、つながり直していきましょう。

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大岩先生の講演から、永江が勝手に抜粋しました。(大岩先生すいません)

閑話休題
会期: 2006年11月21日(火)〜 12月1日(金) 
    12:00 〜 18:00 (最終日は午後4:30まで)

会場: 成安造形大学ギャラリー アートサイト 日曜・祝日休館 
    〒520-0248 滋賀県大津市仰木の里東4-3-1
    TEL: 077-574-2111(代表)


成安造形大学の詳細(地図など)

協賛: ホルベイン工業株式会社  株式会社クサカベ
    ギャラリー風の門<坂本店・草津店・瀬田店>
主催: 成安造形大学 芸術文化交流センター
後援: 大津市・大津市教育委員会
posted by 永江弘之 at 23:02| Comment(0) | ギャラリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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