6月17日(土)、18日(日)はオープンキャンパスでした。
受験生のみなさんに、自分の目で大学を見て、体感してもらいました。
4年間を過ごす自分の「居場所」。やっぱり自分でその魅力を実感してほしい。
教育内容と学びのクオリティを知ってほしいですね。
学びのクオリティを感じてもらうため、例年どおり、1年〜4年の課題作品、卒業制作作品、自主制作作品を展示しました。実際にクリエイティブな面での4年間の学生生活をイメージしてくれたなら、幸い。
別室では、「クロッキーマラソン」と「絵具づくり」、「オリジナルキャラクターのカンバッチづくり」のイベント。
特に「クロッキーマラソン」は今回が初めての新企画。積極的に参加する受験生も多く、4分ポーズも順番にやってもらいました。1日目は、描いたクロッキーを壁に貼って「好き好きシール(今、命名しましたが)」を自分が好きな作品に貼るだけでしたが、2日目は井上先生を中心に合評。最初から上手い人(高校で「朝の10分クロッキーなどをしているそうです」や、描くごとに上手くなっていく受験生がいて、年齢的にも伸び盛りだなー と、改めて思いました。中学、高校、大学と、いろいろなモノを吸収してどんどん成長していきます。
<身を乗り出して講評する井上先生>
今回初めて!というと「クラスの垂れ幕」。
5メートル弱の垂れ幕が、なかなか上手く印刷されず(2mくらいで印刷が切れてしまう)、前日は11:30(もちろん夜の)までやっても終わらず。結局、田中先生が家でミシンをかけてきて(たぶん奥さんがやってくれたのでしょう)、つないで設置しました。さて、受験生のみなさんの眼にはどのように映ったのでしょう。
〈ILL.クラスと写真クラスの垂れ幕〉
新しくオープンした「C-to ギャラリー」では、ILL.クラスと写真クラスの教員展をしました。それは別の記事で。
***************
この際なので、成安造形大学のいいところ(魅力)など、書いてみよう。
在校生に訊くと、成安造形大学の魅力は「アットホームな雰囲気」との答が一番多い。
大学構内は決して広いとは言えませんが、「手頃な広さ」。(「狭い!」という人もいます。)
移動が手頃なのですね。
大学の「手頃な広さ」は、「アットホームな雰囲気」とも密接に関係しています。
学生同士(ILL.クラスも、他クラスの学生とも)常に接している。制作や楽しいことの雰囲気が、いつも身近に感じられる。
一番大きいのは、教員が身近に感じられることだと学生は言います。また、事務室の職員さん、守衛さん、食堂やリブレ(購買)の方、いろいろな人との距離がとても近く感じられることですね。名前を覚えてくれて、いろいろな相談に乗ってくれます。
次に多いのは「学内の環境(施設・設備)などと、周りの自然環境」。
特に湖国滋賀の自然の豊かさ、美しさは格別です。
大学も、もとは里山。林に囲まれています(その周りはニュータウンですが)。東に琵琶湖、西に比叡山を遠望し、空が広く、白い建物とのコントラストが美しい。
琵琶湖があるせいか、飛行機が飛ぶたびにほぼ必ず飛行機雲が空をキャンバスに何本もの白い線を引きます。
比叡山に沈む夕陽の残光に照らされて、飛行機雲が3本、光の線になって上空へのぼっていく様などは、もう神々しいばかり。
〈こんな、すごい夕日もときどき見られます。中庭より〉
〈飛行機雲が空に線を引く〉
〈冬になると年数回、雪で景色が一変する〉
〈そんな日は、こんなキャラクターも登場する〉
〈いろいろなクラスの学生の協力で建てられたカフェ「結」と琵琶湖を遠望。手前には住環境クラスのヨシの造形〉
4年前は神戸に住んでいた私も、滋賀の自然にわくわくドキドキして、ついには永住する気になっています。
学外のみなさんも、カフェ「結」やギャラリーの展覧会にぜひおいでください。
2006年06月22日
2006年06月04日
琵琶湖のナマズ
最近、朝や夜にウォーキングをすることが多い。お腹を引っ込めるためでもあるが、歩いているといろいろな発見があって面白い。
一昨々日(6月1日)の夜、それも深夜0時頃かな。大津市下阪本の旧街道筋などをスタスタと歩いていた。国道161号線の下阪本5丁目交差点近くに、細い水路がある。琵琶湖から200mくらいだろうか。河口付近は水路というよりも小さな小川といった風情で、好きな景色だ。
その水路を通り過ぎる時、「バシャバシャッ」と水音が聞こえた。田んぼの水か何かが流れ落ちているのかと、そのまま通り過ぎたが、また「バシャッ」と聞こえた。気になって戻って、田んぼの畔沿いに水路の縁を歩いてみると、時々「バシャッ」「バシャバシャッ」と水音がする。小魚のお腹が時々きらめくような気がするけれど、そんな音じゃない。
「もしや・・・!」
水深はとても浅いけれど暗くて水中まで全然見えないので、道路から水路の水際まで下りる古い石段を下り(といっても、50cmくらいの高さかな)、水面に目をこらす。深夜に水路に下りてしゃがみ込んでいる男・・・人見たら「キャッ」と叫ばれるか、通報されそうな状況だ。
しばらくすると、橋の下の暗がりで「バシャバシャッ」・・・・・。ふと気づくと、もう足下にいた。「ナマズや!」
体長50cmくらいだろうか、確かにひげも見える。琵琶湖からこんな狭い水路をナマズが遡上してきているのだ。
この時期、産卵のために琵琶湖のナマズが湖辺に広がる水田へと遡上することは、写真家の今森光彦氏がビデオ撮影したNHKハイビジョンスペシャル「里山 〜人と自然がともに生きる」で拝見していたが、「ホントに来るんや!」というわくわく感で一杯になった。
暗闇で見失ったが、さて、この水路を遡上して田んぼに入ることができるのだろうか?
水路に沿ってあぜ道を歩いてみたが、水路と田んぼとの高低差がかなりあって、田んぼに入れそうなところは見つけられなかった。
でも、きっとどこかの田んぼで、産卵が行われるのだと思う。見てみたいなぁ。
散歩をしていると、いろいろな植物や虫や野ネズミ(アカネズミかな)がいたりして、子どもの頃に生物学者にあこがれていた頃の感じを思い出す。湖国滋賀の四季の変化を存分に味わいたいと思う。
一昨々日(6月1日)の夜、それも深夜0時頃かな。大津市下阪本の旧街道筋などをスタスタと歩いていた。国道161号線の下阪本5丁目交差点近くに、細い水路がある。琵琶湖から200mくらいだろうか。河口付近は水路というよりも小さな小川といった風情で、好きな景色だ。
その水路を通り過ぎる時、「バシャバシャッ」と水音が聞こえた。田んぼの水か何かが流れ落ちているのかと、そのまま通り過ぎたが、また「バシャッ」と聞こえた。気になって戻って、田んぼの畔沿いに水路の縁を歩いてみると、時々「バシャッ」「バシャバシャッ」と水音がする。小魚のお腹が時々きらめくような気がするけれど、そんな音じゃない。
「もしや・・・!」
水深はとても浅いけれど暗くて水中まで全然見えないので、道路から水路の水際まで下りる古い石段を下り(といっても、50cmくらいの高さかな)、水面に目をこらす。深夜に水路に下りてしゃがみ込んでいる男・・・人見たら「キャッ」と叫ばれるか、通報されそうな状況だ。
しばらくすると、橋の下の暗がりで「バシャバシャッ」・・・・・。ふと気づくと、もう足下にいた。「ナマズや!」
体長50cmくらいだろうか、確かにひげも見える。琵琶湖からこんな狭い水路をナマズが遡上してきているのだ。
この時期、産卵のために琵琶湖のナマズが湖辺に広がる水田へと遡上することは、写真家の今森光彦氏がビデオ撮影したNHKハイビジョンスペシャル「里山 〜人と自然がともに生きる」で拝見していたが、「ホントに来るんや!」というわくわく感で一杯になった。
暗闇で見失ったが、さて、この水路を遡上して田んぼに入ることができるのだろうか?
水路に沿ってあぜ道を歩いてみたが、水路と田んぼとの高低差がかなりあって、田んぼに入れそうなところは見つけられなかった。
でも、きっとどこかの田んぼで、産卵が行われるのだと思う。見てみたいなぁ。
散歩をしていると、いろいろな植物や虫や野ネズミ(アカネズミかな)がいたりして、子どもの頃に生物学者にあこがれていた頃の感じを思い出す。湖国滋賀の四季の変化を存分に味わいたいと思う。
(成安造形大学ILL.クラス教員 永江弘之)
2006年05月03日
棚田 水の国 〜 仰木・春の棚田写生会 報告 〜
淡海の夢2006プロジェクトの第一弾、「仰木・春の棚田写生会」が
4月29日、30日、5月1日の3日間、盛況のうちに終わりました。
盛況という言い方はちょっと変かな。
参加者数、130名。 「のべ」ではなく、130名。
一般の方が7割、本学学生が3割といったところでしょうか。(まだ名簿の整理が・・・)
リーピーターの方も多く、仰木の魅力がみなさんを惹きつけているようです。
学生も、いろいろなクラスからの参加があり、それぞれの持ち味を発揮した作品を出品してくれると、秋の公募風景展も例年以上に充実し、面白くなるのではないかと期待してしまいます。
今年は、田んぼに水を張り始めるのが早かったので、馬蹄形の棚田も水の国になっているかと期待していたのですが、中央はまだ水が入っていませんでした。
栽培する稲の品種が違うのかもしれません。
仰木の棚田は、1000年の間、仰木の農家の方々が守り育んでこられたものです。農家の方々のたゆまぬ労働で支えられ維持されてきたものです。人の手が加わらなければ荒廃してしまう、自然と生き物と人間が共生する貴重な環境です。
仰木のみなさんの生活空間、生産現場で、その美しい風景を描かせてもらっています。
農家の方への敬意と、主催者である私の感謝の気持ちを、参加者のみなさまにお伝えするために、こんな言い方をしました。
************************************************************************************
ここは、仰木さんのお家です。駐車場のところが入り口の門。あんまりお庭がきれいなので、ついつい中に入ってしまいました。あまりに見事なお庭なのでスケッチがしたくなって、画材を広げて描き始めました。そこへ、お家のご主人が出て来られました。「勝手に入ってすいません。あまりにきれいなお庭だったので。 本当によく手入れされた立派なお庭ですね。スケッチさせてもらっていいですか?」
こんなふうに地元の方とコミュニケーションできるといいな と思っています。
ご主人が出てきたので、あわててコソコソと逃げ出すのもダメだし、平気な顔をして人のお庭を歩き回るのも失礼。
あぜ道は、もう家の中です。勝手に入ってはダメ。 ご主人と言葉を交わしながら、お庭をゆっくりと見せてもらい、描かせてもらう。 感謝の気持ちを込めて。
************************************************************************************
実際は、言葉足らずの言い方しかできていないと思いますが。
そのようにして、3日間の写生会を実施しました。
では、棚田 水の国 の風景を何枚かお楽しみください。
4月29日、30日、5月1日の3日間、盛況のうちに終わりました。
盛況という言い方はちょっと変かな。
参加者数、130名。 「のべ」ではなく、130名。
一般の方が7割、本学学生が3割といったところでしょうか。(まだ名簿の整理が・・・)
リーピーターの方も多く、仰木の魅力がみなさんを惹きつけているようです。
学生も、いろいろなクラスからの参加があり、それぞれの持ち味を発揮した作品を出品してくれると、秋の公募風景展も例年以上に充実し、面白くなるのではないかと期待してしまいます。
今年は、田んぼに水を張り始めるのが早かったので、馬蹄形の棚田も水の国になっているかと期待していたのですが、中央はまだ水が入っていませんでした。
栽培する稲の品種が違うのかもしれません。
仰木の棚田は、1000年の間、仰木の農家の方々が守り育んでこられたものです。農家の方々のたゆまぬ労働で支えられ維持されてきたものです。人の手が加わらなければ荒廃してしまう、自然と生き物と人間が共生する貴重な環境です。
仰木のみなさんの生活空間、生産現場で、その美しい風景を描かせてもらっています。
農家の方への敬意と、主催者である私の感謝の気持ちを、参加者のみなさまにお伝えするために、こんな言い方をしました。
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ここは、仰木さんのお家です。駐車場のところが入り口の門。あんまりお庭がきれいなので、ついつい中に入ってしまいました。あまりに見事なお庭なのでスケッチがしたくなって、画材を広げて描き始めました。そこへ、お家のご主人が出て来られました。「勝手に入ってすいません。あまりにきれいなお庭だったので。 本当によく手入れされた立派なお庭ですね。スケッチさせてもらっていいですか?」
こんなふうに地元の方とコミュニケーションできるといいな と思っています。
ご主人が出てきたので、あわててコソコソと逃げ出すのもダメだし、平気な顔をして人のお庭を歩き回るのも失礼。
あぜ道は、もう家の中です。勝手に入ってはダメ。 ご主人と言葉を交わしながら、お庭をゆっくりと見せてもらい、描かせてもらう。 感謝の気持ちを込めて。
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実際は、言葉足らずの言い方しかできていないと思いますが。
そのようにして、3日間の写生会を実施しました。
では、棚田 水の国 の風景を何枚かお楽しみください。
2006年04月16日
棚田桜、満開です
4月14日、久しぶりに棚田へ行った。
このところ雨が多く、行きそびれていたけれど、
昨年は14日には満開だった。一昨年は15日にほとんど葉桜だった。さて、今年は。
桜の花は、本当に一息に咲いて、春の息吹を吹き出して、はらはらと散る。
満開の桜を見ることができた。
このブログの、昨年4月14日の写真と比べてみると、3月、4月の天気、特に雨の降り方が、
農作業のカレンダーを早めたり遅めたりしているのがわかる。
今年はもう水が張られ始めている。昨年が特に遅かったようだけど。
毎年、この古木の太い幹にちょこんと咲いている花がかわいらしく、愛おしい。
つぼみを付ける場所って、枝とか梢とかという条件はないのだろうか。
古木のおなかに花が咲く。
田に水が張られるのと平行して、畔(あぜ)が作られる。
不定形の田んぼに水を蓄える堤防は、ひとクワひと鍬、農家の方が作っていかれる。
おじいちゃんとおばあちゃんが長靴をはいて、畦づくりの作業をしておられるのを、しばらくじっと見ていた。
実にきれいな台形の畔ができていく。しかし、大変な作業だ。
等高線と同じ曲線を描く畔と柿の木の枝が創り出す造形美。
絵画的に構成されたような空間、どっしりとした大地を感じさせる造形が、いたるところに見られる。
水路を水が流れ落ち、ささやくような心地よいリズムを響かせる。
上の田んぼから徐々に下の田んぼへと、水が張られていき、
やがて棚田は、水の国となる。
今年のゴールデンウィークは、空や森を映す水の国が広がっていると思います。
写生会が楽しみです。
(Photo & Essay 永江弘之)
このところ雨が多く、行きそびれていたけれど、
昨年は14日には満開だった。一昨年は15日にほとんど葉桜だった。さて、今年は。
桜の花は、本当に一息に咲いて、春の息吹を吹き出して、はらはらと散る。
満開の桜を見ることができた。
このブログの、昨年4月14日の写真と比べてみると、3月、4月の天気、特に雨の降り方が、
農作業のカレンダーを早めたり遅めたりしているのがわかる。
今年はもう水が張られ始めている。昨年が特に遅かったようだけど。
毎年、この古木の太い幹にちょこんと咲いている花がかわいらしく、愛おしい。
つぼみを付ける場所って、枝とか梢とかという条件はないのだろうか。
古木のおなかに花が咲く。
田に水が張られるのと平行して、畔(あぜ)が作られる。
不定形の田んぼに水を蓄える堤防は、ひとクワひと鍬、農家の方が作っていかれる。
おじいちゃんとおばあちゃんが長靴をはいて、畦づくりの作業をしておられるのを、しばらくじっと見ていた。
実にきれいな台形の畔ができていく。しかし、大変な作業だ。
等高線と同じ曲線を描く畔と柿の木の枝が創り出す造形美。
絵画的に構成されたような空間、どっしりとした大地を感じさせる造形が、いたるところに見られる。
水路を水が流れ落ち、ささやくような心地よいリズムを響かせる。
上の田んぼから徐々に下の田んぼへと、水が張られていき、
やがて棚田は、水の国となる。
今年のゴールデンウィークは、空や森を映す水の国が広がっていると思います。
写生会が楽しみです。
(Photo & Essay 永江弘之)
2005年09月27日
棚田・里山考 ー 淡海の夢(あわみのゆめ)企画を通して考えたこと ー
イラストレーションクラス担当 永江です。
風景展の記事を書いていて、長文になってしまったので、エッセイとして掲載します。
棚田・里山の美しい風景、地元の方と関わってきて、思うことです。
とは言っても、地元の方との関わりはまだまだ浅く、
下記に掲載した記事で、偏った認識の部分も多かろうと思います。
ご意見、ご指摘があれば、ぜひお聞かせください。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
滋賀県にある成安造形大学が誇れるモノの一つは、環境の素晴らしさです。
大学周辺は、仰木の里のニュータウンですが、それでも空はとても広く、光や雲が美しく、
もちろん、琵琶湖にも近く、比叡山系や比良山系が遠望できます。
とりわけ、近郊の仰木は、1200年の歴史をもつと言われる集落で、伝統的な祭礼や文化、生活があります。
仰木の方々が守り育んでこられた棚田・里山で、2002年から写生会を実施しています。
棚田や里山は、人の手が入って自然や生き物との共存、見事なバランスが保たれている、
サステーナブルな(sustainable 持続可能な)環境です。
人の手が入ると開発や自然破壊をイメージしがちですが、
人の手が入って、これほどの豊かさ、美しさを創り出し、
それが1000年以上たゆみなく続けられてきた得難い環境です。
農家の方は大変です。
春先に、田に水を張っていきます。棚田は美しい水の国へ変わっていきます。
毎年、畦が作り直されます。クワで起こした土を見事にエッジがたった台形の畦に仕上げていかれます。
畦が完成し水が張られると、小型の耕運機で底の土を起こしていきます。水が泥と混じって茶色になります。
耕運機でかき混ぜた後を、(野球部がグラウンドをならすような)T字形の農具で、田んぼの底をならしていきます。
この時に、水が下の田んぼにきちんと流れ落ちるように、微妙な傾斜がつけられます。
気の遠くなるような作業を、長靴を履いたおじいちゃんが黙々と続けられます。
畦づくりも田んぼの微妙な傾斜も、経験的に身につけた大土木工事です。
春先から土手の草が伸びてきます。草は一定以上伸びると自重を支えられず、倒れてしまいます。
その時の、土手の土までえぐり取ってしまいます。
のり面(土手の急傾斜地)の草刈りは定期的に欠かさず行われます。
立っていることも難しい急傾斜の土手での作業です。
棚田の土手がいつも美しい面を見せ、我々を魅了する陰には、そんなたゆまぬ労働があります。
田植えも稲刈りも、畦の曲線部は手作業です。中には全部手作業の田んぼもあります。
棚田では、自分の田んぼが1カ所にまとまっておらず、1枚1枚離れたところにあるそうです。
ここの作業が終わったら、次へ移動。
また、収穫量も、同じ面積の平地の田んぼより少ないそうです。
作業、労働量は、平地の4倍とも6倍とも言われ、もっと多いかもしれません。
でも、農協へ出荷する値段は同じ。混ぜてしまいますから。
・・・・・
こうしたたゆまぬ労働に支えられて、棚田・里山環境のバランスは保たれ、
あの美しい風景があります。
農家の方の高齢化、後継者不足の問題と経済効率の低さは深く関係しています。
仰木でも圃場整備が進みつつあります。
圃場整備をすれば、まっすぐな道、四角い田んぼとなり、
離れていた田んぼを一つにまとめることができ、大型機械が入り、
作業効率は格段にアップします。
圃場整備には国や自治体から補助金が出ます。
でも、農家もかなりの額を負担しなければいけないそうです。
農業を続けていけることを明確にしなければいけない という条件もあるようです。
圃場整備の現場は、宅地造成地そっくりな工事現場になります。
丘を削り、土を盛り、もとの地形の面影はほとんどなくなり、別の土地に生まれ変わります。
よその土地の土を入れるため、お米の味は落ちるそうです。
生息する生き物の数も減り、豊かだった環境はなくなります。
棚田がなくなってしまうことによって懸念されるのは、
1200年の時を経て伝えられてきたその土地の祭礼や文化、生活も
急速に失われていくのではないかということです。
その土地(ここでは仰木)の伝統が、これほど長く現代まで伝えられてきた背景には、
人と人の強い結びつき、共同体の絆があったから ということは、間違いないと思います。
共同体の絆の強さと、棚田を生産現場としてその環境を守り育んできたこととは、
決して無関係ではないはずです。
むしろ、棚田をベースとして、祭礼や文化、生活・・・仰木という生活空間全体のバランスが
成立しているのではないかと思います。
もう、全国でもいくらも残っていない棚田。
大変な労力で保たれている、人の手による自然や生き物との共存空間。環境。素晴らしい景観。
1度壊れてしまえば、再生できないであろう得難いフィールド(地形が全く変わってしまいますから)。
圃場整備の補助金を、棚田環境の保護のために使うことはできないのでしょうか?
農家の方の労働に対する正当な対価として。
そのようにして、日本の環境の多様性を保っていくことが、今本当に必要(重要)だと思います。
日本の町並みと同様に。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
圃場整備の様子 仰木の集落の西側(琵琶湖側)辻ヶ下地区かな? 2005年2月27日撮影
この状態から、四角い田んぼとして蘇ります。でも・・・・ (クリックすると大きく表示されます)
文責: 永江弘之
風景展の記事を書いていて、長文になってしまったので、エッセイとして掲載します。
棚田・里山の美しい風景、地元の方と関わってきて、思うことです。
とは言っても、地元の方との関わりはまだまだ浅く、
下記に掲載した記事で、偏った認識の部分も多かろうと思います。
ご意見、ご指摘があれば、ぜひお聞かせください。
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滋賀県にある成安造形大学が誇れるモノの一つは、環境の素晴らしさです。
大学周辺は、仰木の里のニュータウンですが、それでも空はとても広く、光や雲が美しく、
もちろん、琵琶湖にも近く、比叡山系や比良山系が遠望できます。
とりわけ、近郊の仰木は、1200年の歴史をもつと言われる集落で、伝統的な祭礼や文化、生活があります。
仰木の方々が守り育んでこられた棚田・里山で、2002年から写生会を実施しています。
棚田や里山は、人の手が入って自然や生き物との共存、見事なバランスが保たれている、
サステーナブルな(sustainable 持続可能な)環境です。
人の手が入ると開発や自然破壊をイメージしがちですが、
人の手が入って、これほどの豊かさ、美しさを創り出し、
それが1000年以上たゆみなく続けられてきた得難い環境です。
農家の方は大変です。
春先に、田に水を張っていきます。棚田は美しい水の国へ変わっていきます。
毎年、畦が作り直されます。クワで起こした土を見事にエッジがたった台形の畦に仕上げていかれます。
畦が完成し水が張られると、小型の耕運機で底の土を起こしていきます。水が泥と混じって茶色になります。
耕運機でかき混ぜた後を、(野球部がグラウンドをならすような)T字形の農具で、田んぼの底をならしていきます。
この時に、水が下の田んぼにきちんと流れ落ちるように、微妙な傾斜がつけられます。
気の遠くなるような作業を、長靴を履いたおじいちゃんが黙々と続けられます。
畦づくりも田んぼの微妙な傾斜も、経験的に身につけた大土木工事です。
春先から土手の草が伸びてきます。草は一定以上伸びると自重を支えられず、倒れてしまいます。
その時の、土手の土までえぐり取ってしまいます。
のり面(土手の急傾斜地)の草刈りは定期的に欠かさず行われます。
立っていることも難しい急傾斜の土手での作業です。
棚田の土手がいつも美しい面を見せ、我々を魅了する陰には、そんなたゆまぬ労働があります。
田植えも稲刈りも、畦の曲線部は手作業です。中には全部手作業の田んぼもあります。
棚田では、自分の田んぼが1カ所にまとまっておらず、1枚1枚離れたところにあるそうです。
ここの作業が終わったら、次へ移動。
また、収穫量も、同じ面積の平地の田んぼより少ないそうです。
作業、労働量は、平地の4倍とも6倍とも言われ、もっと多いかもしれません。
でも、農協へ出荷する値段は同じ。混ぜてしまいますから。
・・・・・
こうしたたゆまぬ労働に支えられて、棚田・里山環境のバランスは保たれ、
あの美しい風景があります。
農家の方の高齢化、後継者不足の問題と経済効率の低さは深く関係しています。
仰木でも圃場整備が進みつつあります。
圃場整備をすれば、まっすぐな道、四角い田んぼとなり、
離れていた田んぼを一つにまとめることができ、大型機械が入り、
作業効率は格段にアップします。
圃場整備には国や自治体から補助金が出ます。
でも、農家もかなりの額を負担しなければいけないそうです。
農業を続けていけることを明確にしなければいけない という条件もあるようです。
圃場整備の現場は、宅地造成地そっくりな工事現場になります。
丘を削り、土を盛り、もとの地形の面影はほとんどなくなり、別の土地に生まれ変わります。
よその土地の土を入れるため、お米の味は落ちるそうです。
生息する生き物の数も減り、豊かだった環境はなくなります。
棚田がなくなってしまうことによって懸念されるのは、
1200年の時を経て伝えられてきたその土地の祭礼や文化、生活も
急速に失われていくのではないかということです。
その土地(ここでは仰木)の伝統が、これほど長く現代まで伝えられてきた背景には、
人と人の強い結びつき、共同体の絆があったから ということは、間違いないと思います。
共同体の絆の強さと、棚田を生産現場としてその環境を守り育んできたこととは、
決して無関係ではないはずです。
むしろ、棚田をベースとして、祭礼や文化、生活・・・仰木という生活空間全体のバランスが
成立しているのではないかと思います。
もう、全国でもいくらも残っていない棚田。
大変な労力で保たれている、人の手による自然や生き物との共存空間。環境。素晴らしい景観。
1度壊れてしまえば、再生できないであろう得難いフィールド(地形が全く変わってしまいますから)。
圃場整備の補助金を、棚田環境の保護のために使うことはできないのでしょうか?
農家の方の労働に対する正当な対価として。
そのようにして、日本の環境の多様性を保っていくことが、今本当に必要(重要)だと思います。
日本の町並みと同様に。
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圃場整備の様子 仰木の集落の西側(琵琶湖側)辻ヶ下地区かな? 2005年2月27日撮影
この状態から、四角い田んぼとして蘇ります。でも・・・・ (クリックすると大きく表示されます)
文責: 永江弘之
2005年08月13日
まきおんセンセのエエもんみっけ・4 ミクロマン・マテリアル・フォース
画材屋に行くといつも目にするデッサン人形。昔あこがれて、ある時安いものを見つけて買ってはみたけど、これがあまり役に立たない。こちらの画力の問題もあるかもしれないが、人形の形状が抽象的すぎて、デッサン人形から人物画を起こすのが難しいのだ。特に股関節の付き方が変。あれをもとにちゃんと腰のデッサンができる人は、おそらくデッサン人形なんか必要ない(笑)
で、今年の正月にオモチャ屋で見つけて非常に感心したのが「ミクロマン・マテリアル・フォース」というオモチャの人形。ミクロマンというのはかなり昔からある、男の子向け可動フィギアなのだが、これはその素体(自作フィギアのベース用)版。
これ、たった499円、身長9cmなんだけど、ちょっとすごい。まず、プロポーションが非常にいい。肉付きもちゃんと表現されている。全身の可動箇所は30箇所。まずすごいのが肩。ちゃんと前後にスイングするので自然な肩のポーズがとれる。ひじとひざは2重関節になっているので正座はもちろん、とんび座りまで可能、股関節と臀部のつくりもよくできていて、デッサン人形ではさっぱりわからないこの部分もしっかり参考になる。手は7種類の表情のある別パーツがついているという懲りよう。男性と女性の2種類があって、女性版はバストサイズがSMLとそろってる(笑)
大きさが小さいのも、かえっていろんな角度から見たり、遠近によるパースの違いを確認したりと、具合がいい。特にマンガを描く人にはオススメ。
問題は所詮オモチャなので、関節がゆるみがち。気に入ったら複数予備に購入しておこう。
これ、今年の正月に見つけて買ったんだけど、限定品でその後手に入らなかった。現在、トイザらス各店舗にて復活発売中。おそらく数量限定。
トイザらスのネットショップ(http://www.toysrus.co.jp/)にて通信販売も可能。色が何色かあるが、色が濃いものはデッサン向きではないので、薄い色を選ぼう。
また、最近は大手画材店に行くと、これと同等のよくできた可動人形が売られているので、大きなモノが欲しいひとはさがしてみるといい。
で、今年の正月にオモチャ屋で見つけて非常に感心したのが「ミクロマン・マテリアル・フォース」というオモチャの人形。ミクロマンというのはかなり昔からある、男の子向け可動フィギアなのだが、これはその素体(自作フィギアのベース用)版。
これ、たった499円、身長9cmなんだけど、ちょっとすごい。まず、プロポーションが非常にいい。肉付きもちゃんと表現されている。全身の可動箇所は30箇所。まずすごいのが肩。ちゃんと前後にスイングするので自然な肩のポーズがとれる。ひじとひざは2重関節になっているので正座はもちろん、とんび座りまで可能、股関節と臀部のつくりもよくできていて、デッサン人形ではさっぱりわからないこの部分もしっかり参考になる。手は7種類の表情のある別パーツがついているという懲りよう。男性と女性の2種類があって、女性版はバストサイズがSMLとそろってる(笑)
大きさが小さいのも、かえっていろんな角度から見たり、遠近によるパースの違いを確認したりと、具合がいい。特にマンガを描く人にはオススメ。
問題は所詮オモチャなので、関節がゆるみがち。気に入ったら複数予備に購入しておこう。
これ、今年の正月に見つけて買ったんだけど、限定品でその後手に入らなかった。現在、トイザらス各店舗にて復活発売中。おそらく数量限定。
トイザらスのネットショップ(http://www.toysrus.co.jp/)にて通信販売も可能。色が何色かあるが、色が濃いものはデッサン向きではないので、薄い色を選ぼう。
また、最近は大手画材店に行くと、これと同等のよくできた可動人形が売られているので、大きなモノが欲しいひとはさがしてみるといい。
2005年07月28日
まきおんセンセのエエもんみっけ・3 どうぶつ宝島
ようやく合評も終わり、みなさん待望の夏休みを満喫してます?夏休みといえば、まつむらの時代は「東映まんがまつり」というのがあって、まんが映画を見に行くのが楽しみでした。で、今日はその「東映まんがまつり」の一本、7/29にNHKBSにて放映される「どうぶつ宝島」をご紹介。マニアは「どタカラ」って言うよ。「どタカラ」と言って、みんなに差を付けよう(笑)
うちの学生でもスタジオ・ジブリのアニメーション、特に宮崎駿監督大好き、という学生は非常に多いですね。でも、ジブリ以前、カリオストロ以前の宮崎監督がかかわった作品をちゃんと見ている人は案外、少ないんじゃないかな?この作品は宮崎監督、高畑監督、大塚康男作画監督など、今のジブリを支えている人たちが東映動画という会社(今はTVのワンピースなんかを作っている)に在籍していた1971年の作品。
東映動画という会社は、「東洋のディズニー」をめざして設立された、大資本による日本初の大型アニメーションスタジオ。1958年の「白蛇伝」から、様々な長編アニメーションを送り出した会社。その後、TVが普及して、宮崎・高畑さんたちが退社したあとはこのスタジオはマンガ原作のTVシリーズ中心となり、ナウシカのヒットをきっかけに、黄金期の東映動画を再建しようということでつくられたのがスタジオ・ジブリ、というのが日本のアニメの歴史でもある。
さて、この「ど宝」、スチーブンソンの「宝島」を原作としている、要は「隠された財宝をめぐる、海賊たちと、そこにまぎれこんだ少年の物語」なんだけど、タイトルをみて、いかにもお子様映画となめてかかったらあかんよ。宮崎監督は「アイデア構成」としてクレジットされいるが、はっきりいって、もう全部宮崎ワールド♪謎の美少女に、大海戦に、クリフハンガー(高いところでのアクション)、秘密基地などなど、後のコナンやカリ城、ホームズなどなどのモトネタが山のように出てきます。作画監督の森康二さん、原画を宮崎さんと小田部羊一さんという、最強の布陣で、このような少人数による手作りの、本当のまんが映画はこれ以後つくられることはなかった。
この作品は東映動画のいわゆる大作シリーズ後期の作品で、1971年の作。サロンに置いてある「日本まんが映画の歴史展」カタログにて、宮崎監督の手によるストーリーボードを見ることができるのでぜひ見て欲しいのだけど、この作品の見所は先に書いたアクションや仕掛け以外に、宮崎監督の「カメラのレンズを意識した構図の見事さ」にある。これ以前のまんが映画では、さほどカメラのレンズは意識されず、いわば舞台演劇のような構図が多かったのだけど、宮崎・小田部両氏による、望遠〜広角自由自在、さらにはレンズによるゆがみまで意識した構図とそれを描ききる画力は圧倒的。この映画あたりから、アニメーションは映画になった、といっても過言ではない。
レンタルDVDでも、置いている店は小数ですがあ存在するので、BSが見れない人はレンタル店を探してみてちょーだい。また、機会があれば、同じく東映動画大作の「長靴をはいた猫」「ホルスの大冒険(高畑勲監督)」とど宝の最低三本は必見です。
うちの学生でもスタジオ・ジブリのアニメーション、特に宮崎駿監督大好き、という学生は非常に多いですね。でも、ジブリ以前、カリオストロ以前の宮崎監督がかかわった作品をちゃんと見ている人は案外、少ないんじゃないかな?この作品は宮崎監督、高畑監督、大塚康男作画監督など、今のジブリを支えている人たちが東映動画という会社(今はTVのワンピースなんかを作っている)に在籍していた1971年の作品。
東映動画という会社は、「東洋のディズニー」をめざして設立された、大資本による日本初の大型アニメーションスタジオ。1958年の「白蛇伝」から、様々な長編アニメーションを送り出した会社。その後、TVが普及して、宮崎・高畑さんたちが退社したあとはこのスタジオはマンガ原作のTVシリーズ中心となり、ナウシカのヒットをきっかけに、黄金期の東映動画を再建しようということでつくられたのがスタジオ・ジブリ、というのが日本のアニメの歴史でもある。
さて、この「ど宝」、スチーブンソンの「宝島」を原作としている、要は「隠された財宝をめぐる、海賊たちと、そこにまぎれこんだ少年の物語」なんだけど、タイトルをみて、いかにもお子様映画となめてかかったらあかんよ。宮崎監督は「アイデア構成」としてクレジットされいるが、はっきりいって、もう全部宮崎ワールド♪謎の美少女に、大海戦に、クリフハンガー(高いところでのアクション)、秘密基地などなど、後のコナンやカリ城、ホームズなどなどのモトネタが山のように出てきます。作画監督の森康二さん、原画を宮崎さんと小田部羊一さんという、最強の布陣で、このような少人数による手作りの、本当のまんが映画はこれ以後つくられることはなかった。
この作品は東映動画のいわゆる大作シリーズ後期の作品で、1971年の作。サロンに置いてある「日本まんが映画の歴史展」カタログにて、宮崎監督の手によるストーリーボードを見ることができるのでぜひ見て欲しいのだけど、この作品の見所は先に書いたアクションや仕掛け以外に、宮崎監督の「カメラのレンズを意識した構図の見事さ」にある。これ以前のまんが映画では、さほどカメラのレンズは意識されず、いわば舞台演劇のような構図が多かったのだけど、宮崎・小田部両氏による、望遠〜広角自由自在、さらにはレンズによるゆがみまで意識した構図とそれを描ききる画力は圧倒的。この映画あたりから、アニメーションは映画になった、といっても過言ではない。
レンタルDVDでも、置いている店は小数ですがあ存在するので、BSが見れない人はレンタル店を探してみてちょーだい。また、機会があれば、同じく東映動画大作の「長靴をはいた猫」「ホルスの大冒険(高畑勲監督)」とど宝の最低三本は必見です。
2005年06月20日
まきおんセンセの「エエもんみっけ」<2-ガタカ>
ガタカ、この映画を取り上げるのはもうちょい先のつもりだったのだが、明日21日深夜にNHKーBSにて放映されるということで、急遽ご紹介。1997年のアメリカ映画。
DNA操作技術の発達により、すぐれた適正を持つモノだけが生まれ、生まれる前から進路が決められている近未来世界。宇宙開発省「ガタカ」に勤めるエリート、ビンセントには人に話すことが出来ない秘密があった。彼は自然出産で生まれた遺伝子上不適正者であり、本来宇宙飛行士には絶対になれないのだ。他人の血液を使って他人になりすまし、宇宙飛行士候補生に選ばれるビンセント。だが、ガタカ内で起きた殺人事件で、彼は疑われてしまう....
この映画、まずその美しい映像に目を奪われる。近未来を舞台にしたSFなんだけど、よくあるメカメカした感じは皆無で、50年代ファッションとアールデコな建築が美しいライティングで描かれる。特にフランク・ロイド・ライトの実在する建築を使って撮影された「ガタカ」のモダンな美しさは必見。印象的な絵がたくさん出てくる美しい映画です。
ストーリーがまたうまい。こういうテーマだと、ついついおもたーい話になってしまいがちだけど、主人公一人が、世の中すべてを相手にアブナイ橋を渡ってだまし通す、という設定は犯罪サスペンスのノリで、重たい状況を飽きさせずに見せてくれる。実はこの監督、この作品の前に「トゥルーマン・ショー」という映画の脚本を担当しており、こちらは「世の中の人全員で、一人をだまし続ける」という全く逆の構造になっていた。この2本の映画はぜひペアで見てほしい。テーマの対比、シリアスとコメディという手法の対比など、単品で見る以上にいろんなことが見えておもしろい。
しかし、生まれる前から適正がわかってしまう世界、こわいよね。そのなかで孤軍奮闘する主人公のひたむきさに心打たれるし、逆に彼に血液などを提供する、事故で半身不随となった男(ジウド・ロウ)もいい。絵の世界も「才能」や「適正」という言葉で語られることが多いだけに、見ながらいろいろと考えさせられる一編です。
DNA操作技術の発達により、すぐれた適正を持つモノだけが生まれ、生まれる前から進路が決められている近未来世界。宇宙開発省「ガタカ」に勤めるエリート、ビンセントには人に話すことが出来ない秘密があった。彼は自然出産で生まれた遺伝子上不適正者であり、本来宇宙飛行士には絶対になれないのだ。他人の血液を使って他人になりすまし、宇宙飛行士候補生に選ばれるビンセント。だが、ガタカ内で起きた殺人事件で、彼は疑われてしまう....
この映画、まずその美しい映像に目を奪われる。近未来を舞台にしたSFなんだけど、よくあるメカメカした感じは皆無で、50年代ファッションとアールデコな建築が美しいライティングで描かれる。特にフランク・ロイド・ライトの実在する建築を使って撮影された「ガタカ」のモダンな美しさは必見。印象的な絵がたくさん出てくる美しい映画です。
ストーリーがまたうまい。こういうテーマだと、ついついおもたーい話になってしまいがちだけど、主人公一人が、世の中すべてを相手にアブナイ橋を渡ってだまし通す、という設定は犯罪サスペンスのノリで、重たい状況を飽きさせずに見せてくれる。実はこの監督、この作品の前に「トゥルーマン・ショー」という映画の脚本を担当しており、こちらは「世の中の人全員で、一人をだまし続ける」という全く逆の構造になっていた。この2本の映画はぜひペアで見てほしい。テーマの対比、シリアスとコメディという手法の対比など、単品で見る以上にいろんなことが見えておもしろい。
しかし、生まれる前から適正がわかってしまう世界、こわいよね。そのなかで孤軍奮闘する主人公のひたむきさに心打たれるし、逆に彼に血液などを提供する、事故で半身不随となった男(ジウド・ロウ)もいい。絵の世界も「才能」や「適正」という言葉で語られることが多いだけに、見ながらいろいろと考えさせられる一編です。
2005年06月14日
まきおんセンセの「エエもんみっけ」<1>
ども、まつむらですー。
永江先生から、なんかやれー(笑)と言われて、まぁ気楽によめてるコラムでも、ということで、不定期ですがまつむらがオススメする映画やらマンガやらを無差別級に紹介していこうと思います。ビデオはレンタルショップにあるものを中心に選んでいきますので、興味を持ったら週末にでも探してみてください。
さて、記念すべき?第一回は、イラストレーター、絵描きをめざす学生のみなさんにぜひ見てもらいたいアニメーション作品「マインド・ゲーム」。2004年劇場公開された日本の映画です。
舞台は大阪。初恋の相手「みょん」と偶然再会したまんが家志望の20歳の青年「西」は、みょんの家にやってきたヤクザに殺されてしまう。「神様」の指示に逆らって無理矢理生き返った西は、みょんとその姉「ヤン」とともにクルマで逃走、ヤクザに追われて南港の港大橋へ。追いつめられた瞬間、海から巨大なクジラが現れ、西、みょん、ヤンの三人はクジラに呑み込まれてしまう....
とあらすじを書くとなんだか安っぽいヤクザ映画のように思えて女性は引いてしまうかもしれないですが(^_^;)基本的にはコメディ(と一言で言える作品ではないんですが)なので、まぁだまされたと思って見てみてください。ゲラゲラ笑いながら感動のラストへまるでジェットコースターに乗っているかのようなスピード感のある、物語的にも絵的にも、いっぱいエネルギーをもらえる映画です。
この映画の魅力を一言でいえば「絵ぢから」のすごさ。いや、それでも足りないな。「クソ絵ぢから」(笑)。この映画の監督、湯浅政明さんはこれが初監督作品ですが、クレヨンしんちゃんの映画シリーズ(これについてはまた改めて)の作画監督として注目された人です。「動いてこそナンボ!」といわんばかりの、にデフォルメされた(しかも卓抜したデッサン力に裏打ちされた)キャラと動きが最大の魅力。絵(アニメーション)っていうのは、ここまで自由になれるんだ、という感動。絵の持つ力を信じた人だけが到達できる作品世界がそこにあります。
冒頭のヤクザとの抗争もすごいのですが、なんといっても映画ラスト15分の「大疾走」。メインキャラクター4人が走る、ただ走る、ひたすら走る、どこまでも走る!人が描く絵というのは、ここまでものすごいチカラを持っているのか!と圧倒されます。
また、極度に遠近感を強調した構図にも注目。映像の構図と静止画(イラスト)の構図は文法が異なるのですが、「ここまでオモロイ絵」がつくれる、ということはどんな絵を指向していても参考になるはず。
随所にかいま見られるディズニー映画へのオマージュ、吉本の面々によるネイティブな関西弁(笑)、音楽とアニメーションの融合、「胎内回帰」「再生」「自分の世界」といったテーマなど、見れば見るほど楽しめます。
予告編を公式サイトで見ることができます
http://www.mindgame.jp/trailer/index.html
(まつむらまきお)
永江先生から、なんかやれー(笑)と言われて、まぁ気楽によめてるコラムでも、ということで、不定期ですがまつむらがオススメする映画やらマンガやらを無差別級に紹介していこうと思います。ビデオはレンタルショップにあるものを中心に選んでいきますので、興味を持ったら週末にでも探してみてください。
さて、記念すべき?第一回は、イラストレーター、絵描きをめざす学生のみなさんにぜひ見てもらいたいアニメーション作品「マインド・ゲーム」。2004年劇場公開された日本の映画です。
舞台は大阪。初恋の相手「みょん」と偶然再会したまんが家志望の20歳の青年「西」は、みょんの家にやってきたヤクザに殺されてしまう。「神様」の指示に逆らって無理矢理生き返った西は、みょんとその姉「ヤン」とともにクルマで逃走、ヤクザに追われて南港の港大橋へ。追いつめられた瞬間、海から巨大なクジラが現れ、西、みょん、ヤンの三人はクジラに呑み込まれてしまう....
とあらすじを書くとなんだか安っぽいヤクザ映画のように思えて女性は引いてしまうかもしれないですが(^_^;)基本的にはコメディ(と一言で言える作品ではないんですが)なので、まぁだまされたと思って見てみてください。ゲラゲラ笑いながら感動のラストへまるでジェットコースターに乗っているかのようなスピード感のある、物語的にも絵的にも、いっぱいエネルギーをもらえる映画です。
この映画の魅力を一言でいえば「絵ぢから」のすごさ。いや、それでも足りないな。「クソ絵ぢから」(笑)。この映画の監督、湯浅政明さんはこれが初監督作品ですが、クレヨンしんちゃんの映画シリーズ(これについてはまた改めて)の作画監督として注目された人です。「動いてこそナンボ!」といわんばかりの、にデフォルメされた(しかも卓抜したデッサン力に裏打ちされた)キャラと動きが最大の魅力。絵(アニメーション)っていうのは、ここまで自由になれるんだ、という感動。絵の持つ力を信じた人だけが到達できる作品世界がそこにあります。
冒頭のヤクザとの抗争もすごいのですが、なんといっても映画ラスト15分の「大疾走」。メインキャラクター4人が走る、ただ走る、ひたすら走る、どこまでも走る!人が描く絵というのは、ここまでものすごいチカラを持っているのか!と圧倒されます。
また、極度に遠近感を強調した構図にも注目。映像の構図と静止画(イラスト)の構図は文法が異なるのですが、「ここまでオモロイ絵」がつくれる、ということはどんな絵を指向していても参考になるはず。
随所にかいま見られるディズニー映画へのオマージュ、吉本の面々によるネイティブな関西弁(笑)、音楽とアニメーションの融合、「胎内回帰」「再生」「自分の世界」といったテーマなど、見れば見るほど楽しめます。
予告編を公式サイトで見ることができます
http://www.mindgame.jp/trailer/index.html
(まつむらまきお)
2005年05月30日
入試説明会、盛況! 成安造形大学イラストレーションクラス教員紹介!
この時期、入試課や各クラスの教職員は、入試説明会で遠方まで出かけることが多い。それだけ、遠方から成安造形大学を受験してくれる人がたくさん居るということで、たいへん喜ばしいことだ。
私は、この金土日の3日間、大阪・神戸方面の入試説明会担当。3日間とも受験生の列ができて休むヒマがなかった。3〜4時間はしゃべりっぱなしで、今話している相手に何を話したかこんがらがって「この話、した?」と何度聞いたことか。受験生のみなさん、ごめんなさい。
受験生諸君は、本当に一生懸命に話を聞いてくれる。で、ほとんどの子が最後に「お話が聞けてよかったです!」と言ってくれる。ついついうれしくなって、一生懸命に話しすぎ、長くなってしまう。ほかのブースも聞きに行きたかった人、待たせてしまった人、ごめんなさい。
オープンキャンパスにもたくさん来てほしい(来てくれそう)。大学を見たら、きっと好きになってくれるだろう。
教職員も、在学生諸君も、「成安造形大学で良かったー」と自分自身が心底思えるように、がんばらなきゃね。
でももう、充分好きですね。いいところ10個あげなさいと言われたら、すぐあげれると思う。
在校生諸君、「成安のいいところ」コメント、この記事に付けてみて。よろしく。
受験生のみなさん、何か感想とか聞きたいことがあれば、永江メールアドレス(クリック)にメールください。 もしくは、この記事にコメントを付けてください。お気軽に。
受験生のみなさんが、イラストレーションクラス担当教員の作品(印刷物)にも興味津々な様子だったので、作品の紹介とWebサイトをリンクしておきます。のぞいてみてください。
(記事:永江弘之)
このホームページに掲載されている画像・文章等の無断転載は禁じられています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 大原雄寛 OHARA Yuhiro / 版画家・ビジュアルデザイナー / 担当:シルクスクリーン、製本、グラフィックデザイン史、タイポグラフィー、卒業制作
* 大原先生のサイトではありませんが、上から2番目の4作品が大原作品です。
URL http://www.mediawars.ne.jp/%7Ewesthill/dpage/graphidesign.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 井上直久 INOUE Naohisa / 画家 / 担当:空間表現・人物表現、色彩演習
* イバラードの公式サイトです。井上先生の日記が読めます。もちろん作品も掲載。居住区も。
URL http://www.artgallery.co.jp/iblard/
* 井上先生のプライベートサイト「INOUE Naohisa IBLARD Unknown Visions 」
写生作品、小品紹介、アイルランド取材の写真、画室の伝言板などのほか、
中国語・英語・フランス語のイバラードサイトや掲示板等々。 探検してください。
URL http://www.hcn.zaq.ne.jp/caadx500/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 田中真一郎 TANAKA Shinichiro / イラストレーター・プロダクトデザイナー / 担当:3DCG、製本、図法・テクニカルイラスト、構図構成、卒業制作
* VEPLA。田中先生の公式サイトです。
URL http://www.vepla.net/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 永江弘之 NAGAE Hiroyuki / 画家・イラストレーター / 担当:描画、ミクストメディア、材料学、卒業制作
* 永江弘之Web gallery。幻視風景と風景写生を掲載した公式サイトです。
URL http://www.ne.jp/asahi/nagae/art/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ まつむらまきお MASTUMURA Makio / まんが家・イラストレーター・アニメーション作家 / 担当:FLASHアニメーション、シンボライズ、キャラクターデザイン
* マキオンねっと。まつむら先生の公式サイトです。
イラスト、FLASHアニメーション、ブログなど多彩。FLASHのことなら、まつむら先生。
URL http://www.makion.net/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 今森洋輔 IMAMORI Yousuke / 画家・イラストレーター / 担当:描画
* ホームページはお持ちではないようです。インタビューのページの一つを紹介します。
URL http://my.reset.jp/%7Ehjtani/makinobunka/contents/hito/main.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 梅田美代子 UMEDA Miyoko / イラストレーター(銅版画)/ 担当:銅版画
* ホームページはお持ちではないようです。梅田先生の作品が見られます。
URL http://www.acic.kyoto-art.ac.jp/sensei/umeda/umeda_art.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 小川忠彦 OGAWA Tadahiko / ビジュアルデザイナー / 担当:植物・動物・人物を対象とした表現
* ホームページはお持ちではないようです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 谷 卓司 TANI Takuji / Webデザイナー・グラフィックデザイナー / 担当:レイアウト・編集(DTP)
* 谷先生のデザイン事務所「T&T Design Lab. 」のサイトです。制作事例が見られます。
URL http://www.ttdesign.co.jp/index.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 宝永たかこ HOEI Takako / イラストレーター・絵本作家 / 担当:テクスチャー研究、装丁デザイン
* A MOON IN THE POCKET。宝永先生の公式サイトです。
URL http://www.eonet.ne.jp/%7Emoonlantern/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 松山 正 MASTUYAMA Tadashi / 元電通アートディレクター / 担当;コミュニケーションデザイン(広告)
* ホームページはお持ちではないようです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 田村 愛 TAMURA Mana / 版画家(シルクスクリーン) / 担当:シルクスクリーン
* ホームページはお持ちではないようです。個展の作品紹介です。
URL http://www.spaceyui.com/after/2004/0409/tamura.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 日野 馨 HINO Kaoru / アニメーション作家 / 担当:手描きアニメーション
* ホームページはお持ちではないようです。アーティスト紹介のページです。
URL http://www.artistbank-jp.com/artist/index_hino.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 吉村絵里 YOSHIMURA Eri / アニメーション作家 / 担当:手描きアニメーション
* ヨシムラエリ先生が団長(?)を務める、アニメーション・スープのブログです。
アニメーションの上映や多彩な情報を発信。
「はじめての方へ」からアニメーション・スープのサイトへも行けます。
URL http://star.ap.teacup.com/a-soup/
* ヨシムラエリ先生のアニメーションに対するコメント。
URL http://www.city.osaka.jp/yutoritomidori/culture/pocket/021112/reports/02.html
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■ 外山貴彦 TOYAMA Takahiko / メディアアーティスト / 担当:ネットワーク&コンピュータ基礎
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 岸田 保 KISHIDA Tamostu / 画家・プロダクトデザイナー / 担当:伝達イラストレーション
* ホームページはお持ちではないようです。ユニバーサルデザインについての研究実績等。
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■ 野村正則 NOMURA Masanori /グラフィックデザイナー・版画家 / 担当:グラフィックデザイン基礎
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 藤原志保 FUJIWARA Shiho / Webデザイナー&PCアドバイザー / 担当:Webデザイン
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 待井健一 MACHII Kenichi / イラストレーター / 担当:描画
* 待庵。待井先生の公式サイトです。作品もたくさん、日記もほぼ毎日更新されています。
URL http://www.h3.dion.ne.jp/%7Eiori/samuraian.htm
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●井上よう子 INOUE Yoko / 画家 / 担当:描画
* YOKO'S SCENE。井上よう子先生の公式サイトです。
URL http://www.yoko-scene.com
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■ 令丈ヒロ子 REIJO Hiroko / 児童文学作家 / 担当:絵本や物語のストーリー表現
「料理少年Kタロー」シリーズや「若おかみは小学生!」シリーズの著者。
*ホームページはお持ちではないようです。amazon (通販サイト)で検索すると、たくさんの著書が並びます。検索してみて。
URL amazon.co.jp(通販サイト)
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以上が、2005年度 成安造形大学イラストレーションクラスの教員陣です。
私は、この金土日の3日間、大阪・神戸方面の入試説明会担当。3日間とも受験生の列ができて休むヒマがなかった。3〜4時間はしゃべりっぱなしで、今話している相手に何を話したかこんがらがって「この話、した?」と何度聞いたことか。受験生のみなさん、ごめんなさい。
受験生諸君は、本当に一生懸命に話を聞いてくれる。で、ほとんどの子が最後に「お話が聞けてよかったです!」と言ってくれる。ついついうれしくなって、一生懸命に話しすぎ、長くなってしまう。ほかのブースも聞きに行きたかった人、待たせてしまった人、ごめんなさい。
オープンキャンパスにもたくさん来てほしい(来てくれそう)。大学を見たら、きっと好きになってくれるだろう。
教職員も、在学生諸君も、「成安造形大学で良かったー」と自分自身が心底思えるように、がんばらなきゃね。
でももう、充分好きですね。いいところ10個あげなさいと言われたら、すぐあげれると思う。
在校生諸君、「成安のいいところ」コメント、この記事に付けてみて。よろしく。
受験生のみなさん、何か感想とか聞きたいことがあれば、永江メールアドレス(クリック)にメールください。 もしくは、この記事にコメントを付けてください。お気軽に。
受験生のみなさんが、イラストレーションクラス担当教員の作品(印刷物)にも興味津々な様子だったので、作品の紹介とWebサイトをリンクしておきます。のぞいてみてください。
(記事:永江弘之)
このホームページに掲載されている画像・文章等の無断転載は禁じられています。
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■ 大原雄寛 OHARA Yuhiro / 版画家・ビジュアルデザイナー / 担当:シルクスクリーン、製本、グラフィックデザイン史、タイポグラフィー、卒業制作
* 大原先生のサイトではありませんが、上から2番目の4作品が大原作品です。
URL http://www.mediawars.ne.jp/%7Ewesthill/dpage/graphidesign.html
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■ 井上直久 INOUE Naohisa / 画家 / 担当:空間表現・人物表現、色彩演習
* イバラードの公式サイトです。井上先生の日記が読めます。もちろん作品も掲載。居住区も。
URL http://www.artgallery.co.jp/iblard/
* 井上先生のプライベートサイト「INOUE Naohisa IBLARD Unknown Visions 」
写生作品、小品紹介、アイルランド取材の写真、画室の伝言板などのほか、
中国語・英語・フランス語のイバラードサイトや掲示板等々。 探検してください。
URL http://www.hcn.zaq.ne.jp/caadx500/
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■ 田中真一郎 TANAKA Shinichiro / イラストレーター・プロダクトデザイナー / 担当:3DCG、製本、図法・テクニカルイラスト、構図構成、卒業制作
* VEPLA。田中先生の公式サイトです。
URL http://www.vepla.net/
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■ 永江弘之 NAGAE Hiroyuki / 画家・イラストレーター / 担当:描画、ミクストメディア、材料学、卒業制作
* 永江弘之Web gallery。幻視風景と風景写生を掲載した公式サイトです。
URL http://www.ne.jp/asahi/nagae/art/
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■ まつむらまきお MASTUMURA Makio / まんが家・イラストレーター・アニメーション作家 / 担当:FLASHアニメーション、シンボライズ、キャラクターデザイン
* マキオンねっと。まつむら先生の公式サイトです。
イラスト、FLASHアニメーション、ブログなど多彩。FLASHのことなら、まつむら先生。
URL http://www.makion.net/
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■ 今森洋輔 IMAMORI Yousuke / 画家・イラストレーター / 担当:描画
* ホームページはお持ちではないようです。インタビューのページの一つを紹介します。
URL http://my.reset.jp/%7Ehjtani/makinobunka/contents/hito/main.html
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■ 梅田美代子 UMEDA Miyoko / イラストレーター(銅版画)/ 担当:銅版画
* ホームページはお持ちではないようです。梅田先生の作品が見られます。
URL http://www.acic.kyoto-art.ac.jp/sensei/umeda/umeda_art.html
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■ 小川忠彦 OGAWA Tadahiko / ビジュアルデザイナー / 担当:植物・動物・人物を対象とした表現
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 谷 卓司 TANI Takuji / Webデザイナー・グラフィックデザイナー / 担当:レイアウト・編集(DTP)
* 谷先生のデザイン事務所「T&T Design Lab. 」のサイトです。制作事例が見られます。
URL http://www.ttdesign.co.jp/index.html
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■ 宝永たかこ HOEI Takako / イラストレーター・絵本作家 / 担当:テクスチャー研究、装丁デザイン
* A MOON IN THE POCKET。宝永先生の公式サイトです。
URL http://www.eonet.ne.jp/%7Emoonlantern/
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■ 松山 正 MASTUYAMA Tadashi / 元電通アートディレクター / 担当;コミュニケーションデザイン(広告)
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 田村 愛 TAMURA Mana / 版画家(シルクスクリーン) / 担当:シルクスクリーン
* ホームページはお持ちではないようです。個展の作品紹介です。
URL http://www.spaceyui.com/after/2004/0409/tamura.html
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■ 日野 馨 HINO Kaoru / アニメーション作家 / 担当:手描きアニメーション
* ホームページはお持ちではないようです。アーティスト紹介のページです。
URL http://www.artistbank-jp.com/artist/index_hino.html
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■ 吉村絵里 YOSHIMURA Eri / アニメーション作家 / 担当:手描きアニメーション
* ヨシムラエリ先生が団長(?)を務める、アニメーション・スープのブログです。
アニメーションの上映や多彩な情報を発信。
「はじめての方へ」からアニメーション・スープのサイトへも行けます。
URL http://star.ap.teacup.com/a-soup/
* ヨシムラエリ先生のアニメーションに対するコメント。
URL http://www.city.osaka.jp/yutoritomidori/culture/pocket/021112/reports/02.html
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■ 外山貴彦 TOYAMA Takahiko / メディアアーティスト / 担当:ネットワーク&コンピュータ基礎
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 岸田 保 KISHIDA Tamostu / 画家・プロダクトデザイナー / 担当:伝達イラストレーション
* ホームページはお持ちではないようです。ユニバーサルデザインについての研究実績等。
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■ 野村正則 NOMURA Masanori /グラフィックデザイナー・版画家 / 担当:グラフィックデザイン基礎
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 藤原志保 FUJIWARA Shiho / Webデザイナー&PCアドバイザー / 担当:Webデザイン
* ホームページはお持ちではないようです。
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■ 待井健一 MACHII Kenichi / イラストレーター / 担当:描画
* 待庵。待井先生の公式サイトです。作品もたくさん、日記もほぼ毎日更新されています。
URL http://www.h3.dion.ne.jp/%7Eiori/samuraian.htm
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●井上よう子 INOUE Yoko / 画家 / 担当:描画
* YOKO'S SCENE。井上よう子先生の公式サイトです。
URL http://www.yoko-scene.com
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■ 令丈ヒロ子 REIJO Hiroko / 児童文学作家 / 担当:絵本や物語のストーリー表現
「料理少年Kタロー」シリーズや「若おかみは小学生!」シリーズの著者。
*ホームページはお持ちではないようです。amazon (通販サイト)で検索すると、たくさんの著書が並びます。検索してみて。
URL amazon.co.jp(通販サイト)
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以上が、2005年度 成安造形大学イラストレーションクラスの教員陣です。
2005年05月27日
■ 授業紹介 ■「作品の魅力を引き出す額装」 と 「ホルベイン工業 絵具工場見学」
成安造形大学イラストレーションクラス1年生の演習授業に「表現技法演習1」がある。田中先生と私(永江)で担当している。田中先生の演習内容は「構図・構成」。私は「画材入門」。2005年度前期12回の授業のうち、前半6回は私が1,2組、田中先生が3,4組を受け持っている。後半はクラスが交代する。
今日は、私の「画材入門」の授業を2コマ紹介しようと思う。とは言っても、私は全然活躍していない。授業の主役は、その道のプロの方たちである。
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5月19日(木)2限、「作品の魅力を引き出す額装」について特別講義をしていただいた。講師は、ダイエー堅田店の中に専門店を構える画材店「風の門」の店長、江城寿子(えしろひさこ)さん。江城さんはフレーマーの資格をお持ちで、一般の方からの額の相談から、プロの絵描きさんのオーダー額の制作まで、幅広いニーズに応じておられる。そして、もちろん画材にもお詳しい。成安造形大学の学生は、学内の画材店「リブレ」同様、大変お世話になっている。教員もお世話になっている。私や田中先生、宝永先生の額は、ほとんど江城さんの手によるモノである。(イラストレーションクラスの教員のサイトは、左側の欄にリンクがあります。)
授業では、フレームによって絵のイメージがどれほど変わるかを、私の作品や履修している学生の作品を使って、何パターンも示していただいた。受講生に書いてもらった感想からは、フレームを変えるだけで、絵の表情が一変するのを目の当たりにして、作品の見せ方、額装の重要性に気づき、目から鱗という様子が見て取れる。とても刺激になったようだ。
「この額にするとこんなふうに変わりますね。」
右端に見えるのが額の見本:モールディング(棹材)
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5月24日(火)には、貸切バスで東大阪市にある(株)ホルベイン工業の枚岡工場の見学に行った。大学からは約1時間40分ほど。ちょっとした遠足気分の小旅行だ。枚岡工場では主に水系の絵具を生産している。油絵具の生産は、奈良の工場に移されている。枚岡工場には研究室もあり、絵具の開発や研究、品質の管理などを行っている。
技術部の荒木豊さんに、絵具づくりの歴史などについてお話を聞いたあと、7名ずつ3班に分かれて、社員の方に工場内や研究室を案内していただいた。分かりやすくていねいに説明していただいた。
見学が終わってからも、虫から絵具の色素をとる話や、現物を見せていただくなど、学生と荒木さんとの話が盛り上がっていた。このあと行く人は、いろいろ質問を用意しておくと面白いお話がたくさん聞けそうですよ。
絵具製造の機械です。
研究室にて
こんな所に異星人の宇宙服が・・・
荒木さんとの会話に夢中
江城さま、荒木さま、ホルベイン工業の皆さま、本当にお世話になりました。プロの方と直接お話しできるのは、学生にとって、最も刺激的なことの一つです。今後ともよろしくお願いいたします。
今日は、私の「画材入門」の授業を2コマ紹介しようと思う。とは言っても、私は全然活躍していない。授業の主役は、その道のプロの方たちである。
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5月19日(木)2限、「作品の魅力を引き出す額装」について特別講義をしていただいた。講師は、ダイエー堅田店の中に専門店を構える画材店「風の門」の店長、江城寿子(えしろひさこ)さん。江城さんはフレーマーの資格をお持ちで、一般の方からの額の相談から、プロの絵描きさんのオーダー額の制作まで、幅広いニーズに応じておられる。そして、もちろん画材にもお詳しい。成安造形大学の学生は、学内の画材店「リブレ」同様、大変お世話になっている。教員もお世話になっている。私や田中先生、宝永先生の額は、ほとんど江城さんの手によるモノである。(イラストレーションクラスの教員のサイトは、左側の欄にリンクがあります。)
授業では、フレームによって絵のイメージがどれほど変わるかを、私の作品や履修している学生の作品を使って、何パターンも示していただいた。受講生に書いてもらった感想からは、フレームを変えるだけで、絵の表情が一変するのを目の当たりにして、作品の見せ方、額装の重要性に気づき、目から鱗という様子が見て取れる。とても刺激になったようだ。
「この額にするとこんなふうに変わりますね。」
右端に見えるのが額の見本:モールディング(棹材)
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5月24日(火)には、貸切バスで東大阪市にある(株)ホルベイン工業の枚岡工場の見学に行った。大学からは約1時間40分ほど。ちょっとした遠足気分の小旅行だ。枚岡工場では主に水系の絵具を生産している。油絵具の生産は、奈良の工場に移されている。枚岡工場には研究室もあり、絵具の開発や研究、品質の管理などを行っている。
技術部の荒木豊さんに、絵具づくりの歴史などについてお話を聞いたあと、7名ずつ3班に分かれて、社員の方に工場内や研究室を案内していただいた。分かりやすくていねいに説明していただいた。
見学が終わってからも、虫から絵具の色素をとる話や、現物を見せていただくなど、学生と荒木さんとの話が盛り上がっていた。このあと行く人は、いろいろ質問を用意しておくと面白いお話がたくさん聞けそうですよ。
絵具製造の機械です。
研究室にて
こんな所に異星人の宇宙服が・・・
荒木さんとの会話に夢中
江城さま、荒木さま、ホルベイン工業の皆さま、本当にお世話になりました。プロの方と直接お話しできるのは、学生にとって、最も刺激的なことの一つです。今後ともよろしくお願いいたします。
2005年05月18日
仰木のハレの1日。5月3日 仰木祭 の写真をアップ
仰木(おおぎ)一帯の鎮守社(産土神)である小椋(おぐら)神社には、水をつかさどる神が祭られています。毎年5月3日は小椋神社の例祭「仰木祭」です。別名「泥田祭り」の名は、毎年田植え前に降る雨の中で、泥まみれになって祭礼を行うことが多かったことに由来します。美しい棚田が広がる仰木の里の豊作を祈る雨の神様の祭りなのです。
上のような写真を、下記のサイトにアップしました。
URL http://homepage.mac.com/hiro_nagae/PhotoAlbum2.html
上記サイトの一番上の所で(1)と(2)の切り替えができます。(1ページの掲載枚数の制限があったので)
ちなみに、(2)のURLは、 http://homepage.mac.com/hiro_nagae/PhotoAlbum3.html です。
今年の祭りで出会った場面から、90 枚ほどの写真を時間軸で並べてみました。仰木の日常(ケ)の中の非日常(ハレ)の1日です。
夜、祭りが終わって、それぞれの地区の人たちが、仰木太鼓をたたきながら帰っていく後ろについて歩いていきました。カエルが鳴く棚田の中の道を抜け、平尾(かな?)の集落の辻で手じめをして家々に帰って行かれるのを見て、お祭りを最後まで味わった気分、余韻にひたりました。
==== スライドショーは、自動では送らないようです。矢印をクリック。表示に多少時間がかかりますが、一通り送ると2回目からは軽快になります。 ===
上のような写真を、下記のサイトにアップしました。
URL http://homepage.mac.com/hiro_nagae/PhotoAlbum2.html
上記サイトの一番上の所で(1)と(2)の切り替えができます。(1ページの掲載枚数の制限があったので)
ちなみに、(2)のURLは、 http://homepage.mac.com/hiro_nagae/PhotoAlbum3.html です。
今年の祭りで出会った場面から、90 枚ほどの写真を時間軸で並べてみました。仰木の日常(ケ)の中の非日常(ハレ)の1日です。
夜、祭りが終わって、それぞれの地区の人たちが、仰木太鼓をたたきながら帰っていく後ろについて歩いていきました。カエルが鳴く棚田の中の道を抜け、平尾(かな?)の集落の辻で手じめをして家々に帰って行かれるのを見て、お祭りを最後まで味わった気分、余韻にひたりました。
==== スライドショーは、自動では送らないようです。矢印をクリック。表示に多少時間がかかりますが、一通り送ると2回目からは軽快になります。 ===
2005年05月06日
5月の仰木
29日、30日の「仰木・春の棚田写生会」以降も、何人かの学生が描きに来ていました。ゴールデンウィークを通しての参加者は67名(井上先生、田中先生、永江でちょうど70名)、うち一般の方(学外から)が15名でした。
5月初旬の仰木を紹介します。
2002年春、今森光彦先生と井上直久先生のワークショップで撮影会と写生会。「淡海の夢」企画の萌芽です。下の写真はその時に撮したもの。仰木に魅せられました。
5月1日 曇りのち雨。雨のしっとりした風情もいい。恵みの雨です。雲を吐く比叡山の谷あい。水墨画のようです。
馬蹄形の棚田も一番下の田んぼ以外は水で満たされた。耕運機で泥を掘り起こし、水と混ぜ合わせたあと、人の手で田んぼの泥をていねいにならしていく。重労働だ。おじいさんは、半日かけて3面の棚田をならしてしまった。この作業の時に、水がきちんと下の田へ流れ落ちるように微妙な傾斜をつけて泥をならしていくのだと思う。
仰木の棚田は比叡山の裾野に緩やかに広がっているイメージがあるが、林に囲まれた谷あいに棚田が入り込んでいるところも。奥へと上っていくと田んぼは小さくなり、林に行き止まる。棚田の奥座敷。
5月2日 晴れ。散歩をすると、時を忘れてほんわかとしてまう。野の花や蝶、ちいさな甲虫、ときおり枯れ草をカサカサ鳴らす小さめのトカゲ。弱肉強食の世界も。少しだけ気をつけて見ると、たくさんの生き物が見えてくる。
そろそろ早いところは田植えが始まる。苗床で育った苗のかたまりが田んぼに並ぶ。
夕刻、棚田はコントラストを強めて輝く。残照の中、雲が映える。
5月3日は、仰木祭。別名泥田祭り。1200年続く仰木の集落の伝統的なお祭りです。次回、ご紹介します。
井上先生の作品写真は、 バラード日記 http://www.artgallery.co.jp/iblard/ 5月1日 で見ることができます。
5月初旬の仰木を紹介します。
2002年春、今森光彦先生と井上直久先生のワークショップで撮影会と写生会。「淡海の夢」企画の萌芽です。下の写真はその時に撮したもの。仰木に魅せられました。
5月1日 曇りのち雨。雨のしっとりした風情もいい。恵みの雨です。雲を吐く比叡山の谷あい。水墨画のようです。
馬蹄形の棚田も一番下の田んぼ以外は水で満たされた。耕運機で泥を掘り起こし、水と混ぜ合わせたあと、人の手で田んぼの泥をていねいにならしていく。重労働だ。おじいさんは、半日かけて3面の棚田をならしてしまった。この作業の時に、水がきちんと下の田へ流れ落ちるように微妙な傾斜をつけて泥をならしていくのだと思う。
仰木の棚田は比叡山の裾野に緩やかに広がっているイメージがあるが、林に囲まれた谷あいに棚田が入り込んでいるところも。奥へと上っていくと田んぼは小さくなり、林に行き止まる。棚田の奥座敷。
5月2日 晴れ。散歩をすると、時を忘れてほんわかとしてまう。野の花や蝶、ちいさな甲虫、ときおり枯れ草をカサカサ鳴らす小さめのトカゲ。弱肉強食の世界も。少しだけ気をつけて見ると、たくさんの生き物が見えてくる。
そろそろ早いところは田植えが始まる。苗床で育った苗のかたまりが田んぼに並ぶ。
夕刻、棚田はコントラストを強めて輝く。残照の中、雲が映える。
5月3日は、仰木祭。別名泥田祭り。1200年続く仰木の集落の伝統的なお祭りです。次回、ご紹介します。
井上先生の作品写真は、 バラード日記 http://www.artgallery.co.jp/iblard/ 5月1日 で見ることができます。
2005年05月03日
「仰木・春の棚田写生会」2日目 【 4月30日(土)】
仰木・春の棚田写生会、2日目。とてもいい天気。昨日よりちょっと(だいぶ?)暑い。棚田の風景は、向こうの林や比叡山の山並みに春霞がかかって、とてもやわらかい感じ。ふわっと包み込まれたような優しさが感じられました。上(カミ)の方から、水が田んぼに流れ込み、下(シモ)の田んぼへと落ちていきます。これから日を追う毎に、棚田が水の国になっていくのです。
昨日は風が強く、私の30号のキャンバスも吹っ飛ばされて、棚田を3段くらい落ちました。学生で、飛ばされてキャンバスが破けてしまった人も? イーゼルに立てたまま、その場を離れるモノではないですね。 また、道に道具を広げたままで、どこかへ行くのもマナー違反。農家の方の軽トラが通れないよね。
昨夜、4年生の参加者からから「・・・少し気になったのはゴミです。帰る時にコンビニの袋が飛んでいて拾ったのがきっかけで友達とゴミ拾いながら帰ってみました。意外に空き缶やたばこ、ペットボトル、あめやガムのカスが多くて袋がいっぱいになりました。気になりだすとけっこうゴミが落ちてました。ゴミを写生する人達が出しているとはいいきれませんが、多少のゴミや絵の具の水を流したり少なからず汚しているとおもいます。そこで提案です。自然や棚田を描かせてもらってかわりに帰るときは来たときよりも美しくで、みんなでゴミ拾いをしながら帰る。私たちも自然も農家の人も気持ち良いのでは?と思いました。・・・」というメールをもらいました。私も常々気がかりでした。駐車場の掃除をしたこともあります。参加者から環境のために、仰木の人たちのために、自分たちのために、何かしたいという声が上がるのは素晴らしいことだと思いました。「気がかり」なことは、放っておかずにできるところからやってみる。そんな、積極的な行動が大切なのです。
さっそく、今日から、ゴミ拾いと絵具の水集めを実施。ゴミ袋2袋分のゴミが集まりました。自宅に持ち帰って分別廃棄した人もいるので、もっとたくさんのゴミがあったということです。
私は、仰木の方々との直接的な関係づくりの必要性ばかり考えていましたが、こういう取り組み方も私たちが棚田や仰木の方々ときちんと関係を結ぶということなのですね。
提案者以外でも、同じことを考えていた人は多かったようです。
今日の参加者は約30名。京都新聞の案内記事を見て来られたOLの方や、私の高校、大学の友人も来ました。イラストレーションクラス以外からは、映像クラスとテキスタイルアートクラスからの学生が参加しました。
講評会は、主に田中先生と私で進め、井上先生がビシッと補足してくださる。 という感じで、1時間弱。どの作品も本当に個性的で、見ていて楽しくなりました。完成作品を、ぜひ8月の「淡海の夢2005風景展 @大津市歴史博物館」に出品してください。
昨日は風が強く、私の30号のキャンバスも吹っ飛ばされて、棚田を3段くらい落ちました。学生で、飛ばされてキャンバスが破けてしまった人も? イーゼルに立てたまま、その場を離れるモノではないですね。 また、道に道具を広げたままで、どこかへ行くのもマナー違反。農家の方の軽トラが通れないよね。
昨夜、4年生の参加者からから「・・・少し気になったのはゴミです。帰る時にコンビニの袋が飛んでいて拾ったのがきっかけで友達とゴミ拾いながら帰ってみました。意外に空き缶やたばこ、ペットボトル、あめやガムのカスが多くて袋がいっぱいになりました。気になりだすとけっこうゴミが落ちてました。ゴミを写生する人達が出しているとはいいきれませんが、多少のゴミや絵の具の水を流したり少なからず汚しているとおもいます。そこで提案です。自然や棚田を描かせてもらってかわりに帰るときは来たときよりも美しくで、みんなでゴミ拾いをしながら帰る。私たちも自然も農家の人も気持ち良いのでは?と思いました。・・・」というメールをもらいました。私も常々気がかりでした。駐車場の掃除をしたこともあります。参加者から環境のために、仰木の人たちのために、自分たちのために、何かしたいという声が上がるのは素晴らしいことだと思いました。「気がかり」なことは、放っておかずにできるところからやってみる。そんな、積極的な行動が大切なのです。
さっそく、今日から、ゴミ拾いと絵具の水集めを実施。ゴミ袋2袋分のゴミが集まりました。自宅に持ち帰って分別廃棄した人もいるので、もっとたくさんのゴミがあったということです。
私は、仰木の方々との直接的な関係づくりの必要性ばかり考えていましたが、こういう取り組み方も私たちが棚田や仰木の方々ときちんと関係を結ぶということなのですね。
提案者以外でも、同じことを考えていた人は多かったようです。
今日の参加者は約30名。京都新聞の案内記事を見て来られたOLの方や、私の高校、大学の友人も来ました。イラストレーションクラス以外からは、映像クラスとテキスタイルアートクラスからの学生が参加しました。
講評会は、主に田中先生と私で進め、井上先生がビシッと補足してくださる。 という感じで、1時間弱。どの作品も本当に個性的で、見ていて楽しくなりました。完成作品を、ぜひ8月の「淡海の夢2005風景展 @大津市歴史博物館」に出品してください。
2005年04月30日
淡海の夢2005 仰木・春の棚田写生会 1日目【 4月29日(金)】
今日の仰木は、やや風が強かったのですが、晴れて暖かく、とても気持ちのいい1日でした。
3年目となる「淡海の夢」企画。その第一弾が「仰木・春の棚田写生会」です。
今年は田おこしの季節に雨が多く、トラクターが泥にとられて苦労をされたそうです。本来雨が降ってほしい(例年雨が降る)今くらいの時期に雨がなく、田に水を張るのも例年より遅れていて、3分の2くらいが田おこしのままでした。棚田が水の国となる時期は短そうです。
参加者は、本学イラストレーションクラスの学生がが多かったのですが、日本画クラスやテキスタイルアートクラス学生ほか、市立京都芸術大学や精華大学の学生、近江兄弟社高校の美術の先生、園田学園女子大学の先生など、一般の方も10名くらいご参加いただき、総勢50名ほどで仰木の春を満喫しました。
仰木の農家の方にとっては、田植え前の忙しい時期。さぞ、ご迷惑だったのではないかという心配もあります。が、他では得難い貴重な環境空間で1日を過ごさせていただいたことで、私たちの中にたくさんの新しい息吹が吹き込まれたような気がします。また、私たち一人ひとりの感性で表現した1点1点の作品は、見る人を惹きつけることでしょう。作者が感じた仰木の素晴らしさ、豊かな自然や造形的な美しさが見る人を共感させます。「こんなきれいなところがあるんですね。」 絵を見た人が「行ってみよう」と思い、自分の目で仰木の素晴らしさを実感する。そんな連鎖が、一つのムーブメントを起こす可能性があります。19世紀末から20世紀のパリの裏町を、独特の感性で詩情豊かに描いたユトリロや佐伯雄三。本当に何気ない裏町の一角が「絵になる風景」として見いだされ、パリの味わいの一つとなりました。また、同時期の写真家アッジェが撮ったパリの街角の写真に、えもいわれぬ魅力を感じます。実際の風景や街の美しさに気づかせ、皆が愛する美しさを維持したり、より美しいと感じるように変えていくことも、絵や写真の持つ力です。私たちが「描く」意義がそこにあります。パリの裏町とは違い、そこに行けば誰もが素晴らしいと感じる仰木の風景。私たちは、自分が感じるままに描いていきましょう。長い年月、この棚田を守り育ててこられた仰木の方々にも必ず喜んでいただけます。
新聞社の取材もありました。産経新聞と毎日新聞の記者さんやカメラマンさんが来られ、インタビューを受けた学生もいます。私も取材を受け、成安造形大学と仰木・里山との関わりについて話をしました。
成安造形大学と仰木・里山との関わりは、2000年に遡ります。2001年に写真家 今森光彦先生と本学イラストレーションクラス教授 井上直久との対談。そして2002年、お二人による仰木でのワークショップが「淡海の夢企画」の萌芽と言えます。
詳しくは成安造形大学サイト http://www.seian.ac.jp/indexpc.html のイベントアーカイブ、大学主催のページをご覧ください。
その中に、「『里山を理解すること』から一歩踏み込んで、『里山から創造すること』にチャレンジします。」という一文があります。
「淡海の夢企画」が目指すモノも、そうしたことだと考えています。私たちはまだ「里山を理解する」ことの入口で、自然の豊かさを身近に感じられる美しい空間に出会って、はしゃいでいるだけかもしれません。人の手が加わって、はじめて絶妙なバランスを保っている里山空間。その労力が並大抵でないことは、そこで生活し、たゆまぬ生産活動を続けてこられた仰木の方にしか分からないことだと思います。夕方、比叡の山並みに日が沈んだ薄明の中で、クワを使って田んぼの畔づくりを根気よく続けておられる姿は、生産活動と直結した仰木の方々の生活そのものです。消費活動のウェイトが重視されがちな社会情勢の中、大地と結びついた生産の姿がそこにあり、ARTという創造的活動を生業にしようという私たちがここにいて、共に「創造する」モノを真摯に模索すべき時でははないかと思います。
「淡海の夢企画」は、まだほとんど仰木の皆さまとの関係を築いていません。今後の大きな課題です。
尼崎の電車脱線事故は、私の中では震災の記憶と重なり心が痛くなり、とてもつらい出来事です。今日、一人の参加者が「最近ずっと落ち込んでいたけれど、ここに来て少し心が軽くなった気がします。」と話してくれました。「あの電車に多くの知り合いや友人が乗っていた。亡くなった友人もいる。」と言葉少なに話をしてくれました。
仰木特有のいにしえから幾世代も伝えられてきた文化や伝統と生活。それらに対して、仰木の方々の「誇り」を感じます。祭も農作業もしっかりした横の絆がなくては成り立たないのだろうと考えます。横の絆を強く維持するためには、縦の絆が揺るぎないモノである必要があり、縦社会の悩みもきっとたくさん生じているのだと思います。しかし、地域の絆が文化や伝統、生活を支え、「誇り」に明確な形を与えています。そして、そのことと棚田は切り離して考えられない気がしてなりません。仰木の棚田・里山は、ここを訪れる人の心にとって得難い貴重な環境です。それと同じくらい、仰木の方にとって生産基盤であると同時に仰木にしかない「誇り」を支えているのではないか、そんな気がしてなりません。棚田の後継者がいなければ、無くならざるをえません。圃場整備をした場合も、今の仰木であり続けることは難しくなるのではないかと危惧します。どちらが仰木の方々のしあわせかは、私には判断できません。が、棚田を含めて丸ごと維持できる方法を、探し続けたい気持ちはあります。その為に必要なのは、行政なのか、民間なのか、成安造形大学なのか。たぶん、その全てが同じ方向で動かなければ、実現することは難しいのでしょう。
先駆者である、今森光彦先生の「里山塾」は、5月7日(土)に仰木でスタートするそうです。 http://www.imamori-world.jp/
3:30、三々五々作品を持って棚田桜に集合。鑑賞会です。
井上直久先生と永江が、5点ずつくらい交互にアドバイスをさせていただきました。
人の数だけ作品世界があり、楽しめました。レベルも高かったと思います。8割まではできているという人で明日来られない人もあり、もったいないなー と思いました。完成まで、現場で描き上げることの意味は大きいです。時間を作って、完成までがんばってほしいです。
長くなりましたね。
では、また明日。
3年目となる「淡海の夢」企画。その第一弾が「仰木・春の棚田写生会」です。
今年は田おこしの季節に雨が多く、トラクターが泥にとられて苦労をされたそうです。本来雨が降ってほしい(例年雨が降る)今くらいの時期に雨がなく、田に水を張るのも例年より遅れていて、3分の2くらいが田おこしのままでした。棚田が水の国となる時期は短そうです。
参加者は、本学イラストレーションクラスの学生がが多かったのですが、日本画クラスやテキスタイルアートクラス学生ほか、市立京都芸術大学や精華大学の学生、近江兄弟社高校の美術の先生、園田学園女子大学の先生など、一般の方も10名くらいご参加いただき、総勢50名ほどで仰木の春を満喫しました。
仰木の農家の方にとっては、田植え前の忙しい時期。さぞ、ご迷惑だったのではないかという心配もあります。が、他では得難い貴重な環境空間で1日を過ごさせていただいたことで、私たちの中にたくさんの新しい息吹が吹き込まれたような気がします。また、私たち一人ひとりの感性で表現した1点1点の作品は、見る人を惹きつけることでしょう。作者が感じた仰木の素晴らしさ、豊かな自然や造形的な美しさが見る人を共感させます。「こんなきれいなところがあるんですね。」 絵を見た人が「行ってみよう」と思い、自分の目で仰木の素晴らしさを実感する。そんな連鎖が、一つのムーブメントを起こす可能性があります。19世紀末から20世紀のパリの裏町を、独特の感性で詩情豊かに描いたユトリロや佐伯雄三。本当に何気ない裏町の一角が「絵になる風景」として見いだされ、パリの味わいの一つとなりました。また、同時期の写真家アッジェが撮ったパリの街角の写真に、えもいわれぬ魅力を感じます。実際の風景や街の美しさに気づかせ、皆が愛する美しさを維持したり、より美しいと感じるように変えていくことも、絵や写真の持つ力です。私たちが「描く」意義がそこにあります。パリの裏町とは違い、そこに行けば誰もが素晴らしいと感じる仰木の風景。私たちは、自分が感じるままに描いていきましょう。長い年月、この棚田を守り育ててこられた仰木の方々にも必ず喜んでいただけます。
新聞社の取材もありました。産経新聞と毎日新聞の記者さんやカメラマンさんが来られ、インタビューを受けた学生もいます。私も取材を受け、成安造形大学と仰木・里山との関わりについて話をしました。
成安造形大学と仰木・里山との関わりは、2000年に遡ります。2001年に写真家 今森光彦先生と本学イラストレーションクラス教授 井上直久との対談。そして2002年、お二人による仰木でのワークショップが「淡海の夢企画」の萌芽と言えます。
詳しくは成安造形大学サイト http://www.seian.ac.jp/indexpc.html のイベントアーカイブ、大学主催のページをご覧ください。
その中に、「『里山を理解すること』から一歩踏み込んで、『里山から創造すること』にチャレンジします。」という一文があります。
「淡海の夢企画」が目指すモノも、そうしたことだと考えています。私たちはまだ「里山を理解する」ことの入口で、自然の豊かさを身近に感じられる美しい空間に出会って、はしゃいでいるだけかもしれません。人の手が加わって、はじめて絶妙なバランスを保っている里山空間。その労力が並大抵でないことは、そこで生活し、たゆまぬ生産活動を続けてこられた仰木の方にしか分からないことだと思います。夕方、比叡の山並みに日が沈んだ薄明の中で、クワを使って田んぼの畔づくりを根気よく続けておられる姿は、生産活動と直結した仰木の方々の生活そのものです。消費活動のウェイトが重視されがちな社会情勢の中、大地と結びついた生産の姿がそこにあり、ARTという創造的活動を生業にしようという私たちがここにいて、共に「創造する」モノを真摯に模索すべき時でははないかと思います。
「淡海の夢企画」は、まだほとんど仰木の皆さまとの関係を築いていません。今後の大きな課題です。
尼崎の電車脱線事故は、私の中では震災の記憶と重なり心が痛くなり、とてもつらい出来事です。今日、一人の参加者が「最近ずっと落ち込んでいたけれど、ここに来て少し心が軽くなった気がします。」と話してくれました。「あの電車に多くの知り合いや友人が乗っていた。亡くなった友人もいる。」と言葉少なに話をしてくれました。
仰木特有のいにしえから幾世代も伝えられてきた文化や伝統と生活。それらに対して、仰木の方々の「誇り」を感じます。祭も農作業もしっかりした横の絆がなくては成り立たないのだろうと考えます。横の絆を強く維持するためには、縦の絆が揺るぎないモノである必要があり、縦社会の悩みもきっとたくさん生じているのだと思います。しかし、地域の絆が文化や伝統、生活を支え、「誇り」に明確な形を与えています。そして、そのことと棚田は切り離して考えられない気がしてなりません。仰木の棚田・里山は、ここを訪れる人の心にとって得難い貴重な環境です。それと同じくらい、仰木の方にとって生産基盤であると同時に仰木にしかない「誇り」を支えているのではないか、そんな気がしてなりません。棚田の後継者がいなければ、無くならざるをえません。圃場整備をした場合も、今の仰木であり続けることは難しくなるのではないかと危惧します。どちらが仰木の方々のしあわせかは、私には判断できません。が、棚田を含めて丸ごと維持できる方法を、探し続けたい気持ちはあります。その為に必要なのは、行政なのか、民間なのか、成安造形大学なのか。たぶん、その全てが同じ方向で動かなければ、実現することは難しいのでしょう。
先駆者である、今森光彦先生の「里山塾」は、5月7日(土)に仰木でスタートするそうです。 http://www.imamori-world.jp/
3:30、三々五々作品を持って棚田桜に集合。鑑賞会です。
井上直久先生と永江が、5点ずつくらい交互にアドバイスをさせていただきました。
人の数だけ作品世界があり、楽しめました。レベルも高かったと思います。8割まではできているという人で明日来られない人もあり、もったいないなー と思いました。完成まで、現場で描き上げることの意味は大きいです。時間を作って、完成までがんばってほしいです。
長くなりましたね。
では、また明日。
2005年04月15日
サクラ サク 【 4月14日/永江弘之 】
「たまにはエッセイっぽいのもいいのでは」 まつむら先生のひと言を真に受けて、書いてみよう。
仰木の棚田桜が満開。天神川両岸のゆるやかな丘陵地に広がる仰木の棚田。そのランドマーク的な存在が棚田桜だ。少し高台に1本だけそびえ枝を広げる立派な古木がぽってりと豊かに、白に近いうす紅色の花を咲かせている様は、実に見事だ。
昨年の4月15日は、ほとんど葉桜だった。わずかに残る花を撮ったのが左の写真。
今年は、9日に坂本の”太閤桜”が満開。坂本にはたくさんの桜が咲き、まさに春爛漫の景色になる。その中でも里坊「薬樹院」の秀吉ゆかりといわれている”太閤桜”は、ひときわ目を惹くみごとな枝垂れ桜の古木だ。右下の写真。
でも、同じ9日にウキウキと棚田へ行ってみたら、まだ二分か三分咲き。それが、11日の夜あたりに一気に満開になったらしい。今は本当にあふれんばかりに咲き誇っている。春・張る・晴れ・ハレ・・・冬の間にため込んだ息吹を一気に放出したようなあでやかさだ。こんなに短い時間で一気に咲くのかと驚いた。
花をつけた桜の枝越しに、琵琶湖が遠望される。
棚田は、耕運機で耕されて水をはる準備が始まっている。水をはり、畔(あぜ)を作って、法面(のりめん=傾斜地、田んぼの土手のこと)の草をきれいに刈り・・・農家の方は多忙な時期になる。
また改めて告知するが、今年も「淡海の夢2005」企画の「仰木・春の棚田写生会」を4月29日(金)30日(土)に予定している。ぜひ一緒に写生を楽しみましょう!
棚田桜の写真は、大学の授業の合間(3時間目の空き)に行って撮ったモノ。
実は、夜も行ってみた。棚田の夜は街灯もなく真っ暗。遠くに堅田の町の灯りが小さく見える。桜が月に照らされて、ふわりと薄白く浮かび上がっていると幻想的なのだが、天空の月は三日月で、桜の木のシルエットが浮かび上がっていた。目が慣れてくると地形も見えてくる。何よりも空がきれい。丘陵地の森のシルエットに天球が明るく浮かぶ。月に照らされた雲や星の光の点がクリアで美しい。棚田に水がはられると、田毎の月とまではいかないが星の光が水に映る。
大学の帰路にふと思いついて行ったので三脚もなく、地面にぺたんと座って膝を三脚代わりにして撮ってみた。2枚目はストロボだけど。小さなオレンジの点は三日月。
最後におまけ。こんなのも好きです。太い棚田桜の樹肌に。こんな所にも咲くんだね。
仰木の棚田桜が満開。天神川両岸のゆるやかな丘陵地に広がる仰木の棚田。そのランドマーク的な存在が棚田桜だ。少し高台に1本だけそびえ枝を広げる立派な古木がぽってりと豊かに、白に近いうす紅色の花を咲かせている様は、実に見事だ。
昨年の4月15日は、ほとんど葉桜だった。わずかに残る花を撮ったのが左の写真。
今年は、9日に坂本の”太閤桜”が満開。坂本にはたくさんの桜が咲き、まさに春爛漫の景色になる。その中でも里坊「薬樹院」の秀吉ゆかりといわれている”太閤桜”は、ひときわ目を惹くみごとな枝垂れ桜の古木だ。右下の写真。
でも、同じ9日にウキウキと棚田へ行ってみたら、まだ二分か三分咲き。それが、11日の夜あたりに一気に満開になったらしい。今は本当にあふれんばかりに咲き誇っている。春・張る・晴れ・ハレ・・・冬の間にため込んだ息吹を一気に放出したようなあでやかさだ。こんなに短い時間で一気に咲くのかと驚いた。
花をつけた桜の枝越しに、琵琶湖が遠望される。
棚田は、耕運機で耕されて水をはる準備が始まっている。水をはり、畔(あぜ)を作って、法面(のりめん=傾斜地、田んぼの土手のこと)の草をきれいに刈り・・・農家の方は多忙な時期になる。
また改めて告知するが、今年も「淡海の夢2005」企画の「仰木・春の棚田写生会」を4月29日(金)30日(土)に予定している。ぜひ一緒に写生を楽しみましょう!
棚田桜の写真は、大学の授業の合間(3時間目の空き)に行って撮ったモノ。
実は、夜も行ってみた。棚田の夜は街灯もなく真っ暗。遠くに堅田の町の灯りが小さく見える。桜が月に照らされて、ふわりと薄白く浮かび上がっていると幻想的なのだが、天空の月は三日月で、桜の木のシルエットが浮かび上がっていた。目が慣れてくると地形も見えてくる。何よりも空がきれい。丘陵地の森のシルエットに天球が明るく浮かぶ。月に照らされた雲や星の光の点がクリアで美しい。棚田に水がはられると、田毎の月とまではいかないが星の光が水に映る。
大学の帰路にふと思いついて行ったので三脚もなく、地面にぺたんと座って膝を三脚代わりにして撮ってみた。2枚目はストロボだけど。小さなオレンジの点は三日月。
最後におまけ。こんなのも好きです。太い棚田桜の樹肌に。こんな所にも咲くんだね。