2005年07月28日

まきおんセンセのエエもんみっけ・3 どうぶつ宝島

B000066AEU.09._PE_SCMZZZZZZZ_.jpgようやく合評も終わり、みなさん待望の夏休みを満喫してます?夏休みといえば、まつむらの時代は「東映まんがまつり」というのがあって、まんが映画を見に行くのが楽しみでした。で、今日はその「東映まんがまつり」の一本、7/29にNHKBSにて放映される「どうぶつ宝島」をご紹介。マニアは「どタカラ」って言うよ。「どタカラ」と言って、みんなに差を付けよう(笑)
うちの学生でもスタジオ・ジブリのアニメーション、特に宮崎駿監督大好き、という学生は非常に多いですね。でも、ジブリ以前、カリオストロ以前の宮崎監督がかかわった作品をちゃんと見ている人は案外、少ないんじゃないかな?この作品は宮崎監督、高畑監督、大塚康男作画監督など、今のジブリを支えている人たちが東映動画という会社(今はTVのワンピースなんかを作っている)に在籍していた1971年の作品。
東映動画という会社は、「東洋のディズニー」をめざして設立された、大資本による日本初の大型アニメーションスタジオ。1958年の「白蛇伝」から、様々な長編アニメーションを送り出した会社。その後、TVが普及して、宮崎・高畑さんたちが退社したあとはこのスタジオはマンガ原作のTVシリーズ中心となり、ナウシカのヒットをきっかけに、黄金期の東映動画を再建しようということでつくられたのがスタジオ・ジブリ、というのが日本のアニメの歴史でもある。
さて、この「ど宝」、スチーブンソンの「宝島」を原作としている、要は「隠された財宝をめぐる、海賊たちと、そこにまぎれこんだ少年の物語」なんだけど、タイトルをみて、いかにもお子様映画となめてかかったらあかんよ。宮崎監督は「アイデア構成」としてクレジットされいるが、はっきりいって、もう全部宮崎ワールド♪謎の美少女に、大海戦に、クリフハンガー(高いところでのアクション)、秘密基地などなど、後のコナンやカリ城、ホームズなどなどのモトネタが山のように出てきます。作画監督の森康二さん、原画を宮崎さんと小田部羊一さんという、最強の布陣で、このような少人数による手作りの、本当のまんが映画はこれ以後つくられることはなかった。
この作品は東映動画のいわゆる大作シリーズ後期の作品で、1971年の作。サロンに置いてある「日本まんが映画の歴史展」カタログにて、宮崎監督の手によるストーリーボードを見ることができるのでぜひ見て欲しいのだけど、この作品の見所は先に書いたアクションや仕掛け以外に、宮崎監督の「カメラのレンズを意識した構図の見事さ」にある。これ以前のまんが映画では、さほどカメラのレンズは意識されず、いわば舞台演劇のような構図が多かったのだけど、宮崎・小田部両氏による、望遠〜広角自由自在、さらにはレンズによるゆがみまで意識した構図とそれを描ききる画力は圧倒的。この映画あたりから、アニメーションは映画になった、といっても過言ではない。
レンタルDVDでも、置いている店は小数ですがあ存在するので、BSが見れない人はレンタル店を探してみてちょーだい。また、機会があれば、同じく東映動画大作の「長靴をはいた猫」「ホルスの大冒険(高畑勲監督)」とど宝の最低三本は必見です。
posted by まつむらまきお at 04:25| Comment(1) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやー。さすが松村先生、ためになりますわー。「長靴」も「ホルス」もそういえば、子どもの頃見て大興奮した記憶があります。やっぱり、感動の裏には名人たちの技があったんですねえ。ではまた。
Posted by 令丈ヒロ子 at 2005年07月30日 19:36
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