2005年09月27日

「お菓子の小部屋002号室」イラストレーションクラス2年生グループ展

成安造形大学コンテナギャラリーで、イラストレーションクラス2年生6名によるグループ展
「お菓子の小部屋002号室」が開催中です。

出品者は荻達魚、 片山夕希、川瀬智子、藤田桂子、真鍋沙矢香、山谷妙子の6名。
お菓子をテーマにした作品を展示しています。
ギャラリー自体を小部屋風に内装して、見てくださる方が楽しめる空間に演出しました。

会期: 2005年9月23日(金)〜30日(金)
    10:30 〜 19:00 くらい

会場: 成安造形大学 コンテナギャラリー(スクールバス停留所横)

交通: JR京都駅から湖西線で雄琴駅まで20分 (山科駅から湖西線も乗り換えられます)
    JR雄琴駅前から乗車無料のスクールバスで3分(徒歩18分)
    スクールバスは1時間に2、3本の運行を行っています。

お菓子の小部屋002号コ.jpg

(展示作品より。 クリックすると大きく表示されます)

荻達魚           片山夕希       川瀬智子
荻.jpg 片山.jpg 川瀬.jpg


藤田桂子      真鍋沙矢香         山谷妙子
藤田.jpg 畫鍋.jpg 山谷.jpg
posted by 永江弘之 at 12:31| Comment(0) | ギャラリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

棚田・里山考 ー 淡海の夢(あわみのゆめ)企画を通して考えたこと ー

イラストレーションクラス担当 永江です。
風景展の記事を書いていて、長文になってしまったので、エッセイとして掲載します。
棚田・里山の美しい風景、地元の方と関わってきて、思うことです。
とは言っても、地元の方との関わりはまだまだ浅く、
下記に掲載した記事で、偏った認識の部分も多かろうと思います。
ご意見、ご指摘があれば、ぜひお聞かせください。

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滋賀県にある成安造形大学が誇れるモノの一つは、環境の素晴らしさです。
大学周辺は、仰木の里のニュータウンですが、それでも空はとても広く、光や雲が美しく、
もちろん、琵琶湖にも近く、比叡山系や比良山系が遠望できます。
とりわけ、近郊の仰木は、1200年の歴史をもつと言われる集落で、伝統的な祭礼や文化、生活があります。
仰木の方々が守り育んでこられた棚田・里山で、2002年から写生会を実施しています。
棚田や里山は、人の手が入って自然や生き物との共存、見事なバランスが保たれている、
サステーナブルな(sustainable 持続可能な)環境です。
人の手が入ると開発や自然破壊をイメージしがちですが、
人の手が入って、これほどの豊かさ、美しさを創り出し、
それが1000年以上たゆみなく続けられてきた得難い環境です。

農家の方は大変です。
春先に、田に水を張っていきます。棚田は美しい水の国へ変わっていきます。
毎年、畦が作り直されます。クワで起こした土を見事にエッジがたった台形の畦に仕上げていかれます。
畦が完成し水が張られると、小型の耕運機で底の土を起こしていきます。水が泥と混じって茶色になります。
耕運機でかき混ぜた後を、(野球部がグラウンドをならすような)T字形の農具で、田んぼの底をならしていきます。
この時に、水が下の田んぼにきちんと流れ落ちるように、微妙な傾斜がつけられます。
気の遠くなるような作業を、長靴を履いたおじいちゃんが黙々と続けられます。
畦づくりも田んぼの微妙な傾斜も、経験的に身につけた大土木工事です。
春先から土手の草が伸びてきます。草は一定以上伸びると自重を支えられず、倒れてしまいます。
その時の、土手の土までえぐり取ってしまいます。
のり面(土手の急傾斜地)の草刈りは定期的に欠かさず行われます。
立っていることも難しい急傾斜の土手での作業です。
棚田の土手がいつも美しい面を見せ、我々を魅了する陰には、そんなたゆまぬ労働があります。
田植えも稲刈りも、畦の曲線部は手作業です。中には全部手作業の田んぼもあります。
棚田では、自分の田んぼが1カ所にまとまっておらず、1枚1枚離れたところにあるそうです。
ここの作業が終わったら、次へ移動。
また、収穫量も、同じ面積の平地の田んぼより少ないそうです。
作業、労働量は、平地の4倍とも6倍とも言われ、もっと多いかもしれません。
でも、農協へ出荷する値段は同じ。混ぜてしまいますから。
・・・・・
こうしたたゆまぬ労働に支えられて、棚田・里山環境のバランスは保たれ、
あの美しい風景があります。

農家の方の高齢化、後継者不足の問題と経済効率の低さは深く関係しています。
仰木でも圃場整備が進みつつあります。
圃場整備をすれば、まっすぐな道、四角い田んぼとなり、
離れていた田んぼを一つにまとめることができ、大型機械が入り、
作業効率は格段にアップします。
圃場整備には国や自治体から補助金が出ます。
でも、農家もかなりの額を負担しなければいけないそうです。
農業を続けていけることを明確にしなければいけない という条件もあるようです。

圃場整備の現場は、宅地造成地そっくりな工事現場になります。
丘を削り、土を盛り、もとの地形の面影はほとんどなくなり、別の土地に生まれ変わります。
よその土地の土を入れるため、お米の味は落ちるそうです。
生息する生き物の数も減り、豊かだった環境はなくなります。

棚田がなくなってしまうことによって懸念されるのは、
1200年の時を経て伝えられてきたその土地の祭礼や文化、生活も
急速に失われていくのではないかということです。

その土地(ここでは仰木)の伝統が、これほど長く現代まで伝えられてきた背景には、
人と人の強い結びつき、共同体の絆があったから ということは、間違いないと思います。
共同体の絆の強さと、棚田を生産現場としてその環境を守り育んできたこととは、
決して無関係ではないはずです。
むしろ、棚田をベースとして、祭礼や文化、生活・・・仰木という生活空間全体のバランスが
成立しているのではないかと思います。

もう、全国でもいくらも残っていない棚田。
大変な労力で保たれている、人の手による自然や生き物との共存空間。環境。素晴らしい景観。
1度壊れてしまえば、再生できないであろう得難いフィールド(地形が全く変わってしまいますから)。

圃場整備の補助金を、棚田環境の保護のために使うことはできないのでしょうか?
農家の方の労働に対する正当な対価として。
そのようにして、日本の環境の多様性を保っていくことが、今本当に必要(重要)だと思います。
日本の町並みと同様に。

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圃場整備の様子 仰木の集落の西側(琵琶湖側)辻ヶ下地区かな? 2005年2月27日撮影
この状態から、四角い田んぼとして蘇ります。でも・・・・ (クリックすると大きく表示されます)

IMG_0511.JPG  IMG_0532.JPG  IMG_0499.JPG


文責: 永江弘之
posted by 永江弘之 at 12:08| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「棚田・里山、湖辺の郷 淡海の夢2005 風景展」開催中!

会期: 2005年9月21日(水)〜10月8日(土)
    12:00 〜 18:00 日曜休廊 観覧無料

会場: 成安造形大学 ギャラリー アートサイト
    〒520-0248 滋賀県大津市仰木の里東4-3-1
    TEL:077-574-2118(芸術文化交流センター直通)
    成安造形大学ホームページURL http://www.seian.ac.jp/

交通: JR京都駅から湖西線で雄琴駅まで20分 (山科駅から湖西線も乗り換えられます)
    JR雄琴駅前から乗車無料のスクールバスで3分(徒歩18分)
    スクールバスは1時間に2、3本の運行を行っています。

風景展2005会場3.jpg

風景展2005会場2.jpg

風景展2005会場1.jpg

棚田や里山の風景、湖辺の景色をテーマとした公募展です。
主に琵琶湖水系の豊かな自然の中で制作した作品、50点あまりを展示しています。
風景写生、イメージ展開した幻視風景、写真など、いろいろなアプローチの作品をご高覧ください。
posted by 永江弘之 at 11:20| Comment(0) | ギャラリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする